福岡市早良区の自宅アパート前で14日、住人の田中久子さん(78)が男に刺殺された事件で、福岡県警早良署の捜査本部は15日、現場に自転車を放置した20代の男を殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕した。現場から南に約800メートル離れた同市城南区鳥飼で先月25日に発生した女性刺傷事件の犯人と、男の特徴や手口が酷似しており、県警は今後この事件についても男を追及する。
調べで、男は14日午後7時ごろ、早良区西新のアパート前の通路で、外出先から帰ってきた住人の田中さんの正面から胸など十数カ所を刺すなどして、殺害した疑い。放置された自転車や周辺の聞き込み捜査などから男の存在が浮上した。
司法解剖の結果、田中さんの死亡推定時刻は14日午後7時ごろで、死因は出血性ショック死と分かった。刺されるなどした十数カ所の部位のうち、胸の傷は肺まで達し、ほぼ即死状態だった。遺体には抵抗した際にできる「防御創」と呼ばれる傷が手や腕に複数あったという。
田中さんのバッグがアパート前通路に残されていた。中を物色した痕跡はなく、現金が入ったままだった。県警は現金以外が目的だったとみて調べている。
事件直後には、走って逃げる男の姿が、アパート南側のファミリーレストラン駐車場の防犯カメラに映っており、県警は逃走経路についても解明を進める。【河津啓介、村尾哲】
毎日新聞 2008年4月15日 23時51分(最終更新 4月16日 0時25分)