初の保険料天引き、怒り広がる−後期高齢者医療制度

 4月に始まった「後期高齢者(長寿)医療制度」で、保険料を年金から天引きする最初の特別徴収日となった15日、岩手県、宮城県、千葉県、大阪府など各地で同制度の中止・撤回を求める活動が行われた。「早く死ねということですね」と嘆く75歳以上の高齢者、「高齢者を虐待する制度で許せない」と批判する若者など、世代を超えて国民の間に怒りが広がっている。

【関連記事】
高齢者医療“粗診粗療”に…
「医療差別」に高齢者は怒っている

 千葉県習志野市と船橋市にまたがるJR津田沼駅の駅前では、社会保障推進千葉県協議会などが署名・相談活動を展開。同駅の乗降客らに同制度の中止・撤回を呼び掛けた。

 金融機関で年金額を確認してきたばかりの76歳の女性は、「後期高齢者医療の保険料が天引きされていて、介護保険料だけの時よりも負担が3倍以上に増えていた。アパートで一人暮らしをしているが、負担は家賃の半分以上にもなり、本当に痛い。腹が立つ」と語気を荒げた。
 75歳の男性は署名をしながら、「わたしたち75歳以上の国民を強制的に加入させるなんて、おかしい。まだ細かいことは分からないが、医療に関する国民の負担を重くして国の負担を減らすことが目的であることは間違いない。国民に負担を押し付ける政策はやめてほしい」と、国の医療費抑制策を批判。つえを突く85歳の夫を支えながら歩いていた80歳の女性は、「長生きしては駄目というような制度で悲しい。負担も増えて困る」などと嘆いた。

 同制度への反対の声は、75歳以上の対象者にとどまらず、他の世代からも聞かれた。署名した20歳代の専門学校生の女性は、「テレビの報道番組で知ったが、高齢者から医療を奪うような制度で、あってはならない。国はひどいことをする。すぐに廃止すべき」と語った。また、仕事で同駅を利用した37歳の女性は、「いずれは自分も高齢者になる」と前置きした上で、「年を取れば、収入が減り、いずれは年金生活になる。保険料が年金から天引きされ、生活はどんどん苦しくなるだろう。今まで社会のために働いてきた人たちを大事にすることを、国は考えるべきだ」と強調した。

 このほか、「国は年金の未払いという問題を起こしておきながら、保険料は年金から天引きする。全く納得がいかない」(69歳女性)、「月6万円という少ない年金から保険料を取られるなんて、本当に厳しい」(79歳女性)、「少ない年金で被保険者が保険料を負担できない場合は、子どもが負担することになる。この制度は75歳以上の対象者だけの問題ではない」(55歳女性)などの批判が相次いだ。


更新:2008/04/15 18:48     キャリアブレイン

このニュースをメールで送る

ご自身のお名前:


送信元メールアドレス(ご自身):


送信先メールアドレス(相手先):


すべての項目にご記入の上、送信ボタンをクリックしてください。

ようこそゲストさん

※無料会員登録をしていただくと、すべての記事がご覧いただけます。

医療ニュース動画

08/01/25配信

高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子

医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。