突然、歩けないほどの足の痛みに襲われて、京都市内の総合病院にかかった。1階で車椅子を借り、採血のため2階へ行こうとエレベーターを待っていて貴重な体験をした▼エレベーターはずっと満員で、散々待ってようやく乗れた。その時、私の口をついて出たのが「ごめんなさい」「すみません」の言葉。悪いことはしていないのに、車椅子の人は外出のたびにこんな肩身の狭さを味わっているのでは▼例えば駅には、帳尻合わせのようなバリアフリーがあふれていないか。エスカレーターは上り専用が多いし、車椅子用リフトはさらしものみたい。出かける気持ちがかえってうせるようでは、甚だ本末転倒だ。【武井澄人】
毎日新聞 2008年4月15日 地方版