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【社会】

後期高齢者医療 保険料、年金天引き 

2008年4月15日 07時11分

後期高齢者(長寿)医療制度廃止を訴え、協力と理解を呼びかける野党4党の幹部=14日午後、東京都豊島区巣鴨で(中西祥子撮影)

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 七十五歳以上の約千三百万人が加入して四月から始まった後期高齢者(長寿)医療制度で、年金から保険料を天引きする特別徴収が、十五日に始まる。今回の天引き対象者は約八百万人。さいたま市や横浜市など三十一市区町村は、システム開発の遅れなどから十月に先送りされた。

 四月からの天引きは国民健康保険(国保)に加入していた人が対象。健康保険組合など被用者保険に加入していた人や、扶養家族だった人、先送りした三十一市区町村の人の計二百万人は十月から天引きが始まる。

 年金額が年十八万円(月一万五千円)未満の人や、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の二分の一を超える人の計三百万人は天引きせず、納付書などで支払う。年金支給は偶数月の支給で、十五日に支給される二、三月分の年金から、四、五月分の保険料二カ月分が引き落とされる。次回は六月十三日。

 六十五歳から七十四歳の人の国保料の天引きも、約六百市区町村の約五十三万人が対象となって始まる。その他の市区町村の多くは十月から天引きが行われる。

■『うば捨て山よりひどい』 巣鴨で野党4党

 野党四党幹部が十四日、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨の商店街でそろって演説、十五日からの保険料天引きを前に後期高齢者(長寿)医療制度の廃止を高齢者らに訴えた。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は「うば捨て山よりひどい制度。『お年寄りは若い人たちより多く財産を持っているから、使わせてもらってもいい』という安易な発想だ」と強調。共産党の市田忠義書記局長も「うば捨て山は、おカネをとらなかったが、今度はカネをとって早く死ねというひどい話」と批判した。

 社民党の重野安正幹事長は「これが自公政権の高齢者に対する仕打ちだ」と強調。国民新党の自見庄三郎副代表は、政府が名称を後期高齢者医療制度から長寿医療制度へ変更したことに触れ「良心の呵責(かしゃく)があるからだ」と指摘した。

■首相『負担、丁寧に説明』

 福田康夫首相は十四日夜、首相官邸で記者団に対し、後期高齢者(長寿)医療制度で年金からの保険料天引きが十五日から始まることに関し「総務省、厚生労働省、市町村が、一丸となってよく説明していく」と強調した。

 さらに首相は「今までは制度の説明をしていた。これからは、高齢者の人たちがどうなるかを中心に、説明することが必要だと思う」と、対象者に負担のあり方を丁寧に説明する方針を示した。

<後期高齢者(長寿)医療制度> 75歳以上や、65歳以上で一定の障害がある人を対象に4月から始まった医療保険制度。都道府県ごとに全市区町村でつくる広域連合が運営する。国民健康保険(国保)や企業の健康保険組合などを脱退して加入し、新たな保険証が支給される。地域の医療費によって保険料が決まり、都道府県ごとに保険料が異なる。病院の窓口で支払う患者負担は、これまで通り原則として1割。

(東京新聞)

 

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