飲酒運転による3児死亡事故や生活保護費詐取など、職員による不祥事が相次いだ福岡市は15日、再発防止に向けた具体的な方策をまとめ、発表した。不祥事の背景に職員自身の飲酒や借金問題が潜むと分析。本年度から、医療機関と共同で職員の適正飲酒支援や、多重債務者への助言などを行い、組織全体のコンプライアンス(法令順守)向上を狙っている。
市によると、飲酒や借金といった職員個人の領域まで踏み込み、コンプライアンスに取り組む自治体は珍しい。ただ、企業のコンプライアンスに詳しい永野芳宣・福岡大客員教授は「法令順守は最低限の規制で、民間では当然の取り組み。あの3児死亡事故があった福岡市でいまだに、その推進組織がない点には驚く」と指摘している。
市は昨年9月、コンプライアンス向上検討委員会を設置。全職員の意識調査や、懲戒処分を受けた職員本人、上司の聞き取りを実施。不祥事の原因を職場風土や人事管理面から探った。
その結果、個人の規範意識に依存せず、組織の体制づくりが重要と判断。飲酒運転撲滅に、医療機関と共同で「HAPPYプログラム」と題する個別の酒量減量に向けた保健指導に6月から取り組む。多額、多重の債務を抱える職員には、管理職が助言する対応マニュアルを作成、専用の相談窓口を人事部に設ける。
吉田宏市長をトップにコンプライアンス推進委員会も新設。管理職のマネジメント研修も強化、増加する職員の「心の病」対策で、九州大と共同で職場環境の調査や「心の健康づくり計画」の推進に取り組む。
=2008/04/15付 西日本新聞夕刊=