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2008/04/15
管理主義的な『meet-me』は自由なセカンドライフへのノスタルジアを喚起する
トランスコスモス傘下の株式会社ココアが「meet-me」という仮想世界サービスを正式リリースしたので使ってみた。キーボードとマウスで3D仮想世界を直感的に操作する、というアイデアは幻想に過ぎないのでは、という懸念がセカンドライフの時にもあったが、今回はどうだろう。3D世界に対するバブリーな期待もクールダウンしたこのタイミングで、あえてリリースした意図が「少しくらいは」気にならないこともない。勿論、アスキーの記事などからはセカンドライフの時のような煽りのニオイが漂ってくるし、大企業が肩を並べる株主陣を眺めても、リスク分散の上での3D実験場という印象はあるけども。
1.インストール
セカンドライフはユーザーPCに専用ソフトをインストールさせるが、この点はmeet-meも同様だ。長期戦覚悟でインストール作業に挑みつつ、進捗状況をtwitterに独りつぶやく。案の定、インストーラパッケージ展開、Visual C++セットアップ、ActiveXインストールなどなど、早速エンドレスの様相。さらにパッケージデータ更新、差分データ更新(差分って何?最初から更新しておいてほしいけど。)が長々と続き、合計40分程度で終了。私の場合はグラフィックボードを既に持っていたのでまだ良かったが、このインストール作業の時点で多くのユーザーは利用を諦めそうだ。ちなみにセカンドライフの場合は3分程度で終わる。
2.住民登録 ~ 家出
立ち上げるとウインドウは横長で、全画面表示はできない。役所の受付のような場所で、まず最初に「住民登録」を求められる。書類デザインは官僚的だ。住民登録を済ませると「基本操作のご案内」が表示される。全3ページだがこれで操作ができるようになるんだろうか、百抹の不安を覚えつつ、次へ進む。
住所が割り当てられ、なぜか東京都北区になった(meet-meの世界は現実世界に準じた位置情報を持っている)。まったく馴染みがない場所に強制的に住まわせるというのはどうなのか?気がつくと画面は自宅に移動。自宅といっても独房のようなグレーの小部屋だ。目の前には初期ガイド役の女性アバターがいる。このアバターの指示に従って体型や服をチョイスする。「あなたがお選びになった衣服以外は私が回収いたしますので、じっくり考えてお決めください。」とは、なかなかジョークがきいている。残しておいてほしいんだが、無理そうだ。セカンドライフの四次元ポケット並みに底なしのinventory(道具箱)を懐かしみつつ家を出る。
自宅の近くは殺風景
3.操作性
家を飛び出すと外は現実世界に合わせて夜モードになっている。建物や木々、アバターのグラフィックは上質ではない。操作の難易度は非常に高く、不慣れなユーザーには歩くこと以外の行動はとれないと思われる。meet-meには独自の管理社会的ルールが多く、ユーザーの直感に沿った自由な移動、出会い、コミュニケーション、経済活動、アバターカスタマイズなどは必ず何らかの大きな制約に出会う。セカンドライフとの比較で言えば、例えば次のような制約だ。
- 飛べない&テレポートできない
- 持ち物は落ちていないし、作れない
- 電車、バスでしか長距離移動できない
- 他のユーザーの存在は目視で確認
- マウスクリックに反応する範囲が狭い
- 第三者的カメラなど、視点切り替えができない
- その他何をするにしても規定ルールが多い
中でも移動には大きな困難を伴った。駅を目で見つけて走りより、切符を買い、路線選択して駅を探し、駅をマイリストに登録し、移動するという手順が必要だ。もっと簡単にできるのかもしれないが、地図をダブルクリックするだけでどこにでもテレポートできるセカンドライフとは大きな差がある。
4.出会いと別れ
ユーザーを探し、早速コミュニケーションをとろうとするが、移動するユーザーを追ってクリックするのは至難の業である。チャットの方法はセカンドライフと同じようだが、相手の反応はなかった。プロフィールを見ると、全項目が非公開となっている。これが初期設定だとすると、コミュニケーションのチャンスはかなり失われていると言わざるを得ない。メッセージを送受信したり、何らかのグループやネットワークを通じて他のユーザーとコミュニケーションしたりすることもできない。こうした機能は探せばあるのかもしれないが、探さないと見つけられない時点で存在しないも同然だ。
5.新宿は眠っていた
赤羽駅から新宿駅東口に移動する。他のユーザーはあまり多くない。新宿アルタ前には4人ほど確認できた。衣服や体型は与えられたものから選択するだけなので、アバターのバリエーションは少ない。人数が多くなると見分けがつかなくなりそうだ。ちょっとまつげを濃くしてみたが、見た目にはあまりわからない。
アバターカスタマイズは限定的
東京タワーや雷門など、現実世界のランドマークを忠実に模写していることもmeet-meの宣伝文句だが、普通の建物は全て同じようなデザインである。歩いていると、歌舞伎町一番街のゲートは本物志向だった。
6.アンインストール
なんとかできた友人申請も、相手がログアウトしたのか移動したのか、失敗してしまった。ウェブアプリケーションなのだから、非同期で友人申請処理を進めてくれればよいと思うのだが、ここまで現実世界の物理法則を取り入れてもしょうがない。この時点でアプリを閉じてアンインストールしてしまった。
7.結論
meet-meは、自由がかなり制限されている。肉体の限界を無視した行動や、超法規的な行動ができるからこそ仮想世界であり、meet-meほどに現実社会を模倣すると、3D世界をウェブに持ち込むそもそもの意義が失われる。セカンドライフでもギャンブルや金融業に規制が導入されたが、テレポートしたり、チャットしたり、バーチャルな創造活動や経済活動をしたりという仮想世界ならではのメリットまで無視することはない。この点でmeet-meは管理主義的色彩を強め過ぎている。
ビジネスモデルは土地レンタル、広告販売、アイテムなどのマイクロトランザクションを計画しているが(関連記事)、当然現在のところどれも目立った売上はなさそうだ。少なくとも新宿という都心ですら広告を目にしなかった。セカンドライフの大きな魅力であったリアル・マネー・トレード(RMT:仮想通貨と現実通貨との取引)もmeet-meでは実施される見通しはない。meet-meがユーザーを増やすために超えなければならない障壁は多く、正式リリース時のサービスを見る限り、これらの障壁を克服する可能性は低い気がする。まずはユーザーインターフェースの全面的なバージョンアップが欲しいところ。
考え直すと、20億円の資金調達でSecond Lifeをあれほどの質に高めたLinden Labも驚異的ではある。ココアは設立時の資本金以外では資金調達額を公開していないが、総額でおそらく数億円~10億円程度ではないだろうか。仮想世界サービスの普及に病的なまでに楽観的なみずほグループがトランスコスモスと組んでSPC(特別目的会社)的にココアを作り、そこへHPなどが乗っかってブレードサーバの宣伝プレスリリースに活用したりしている、という様子に見える。
meet-me以降は仮想世界についての途方もない市場成長予測を発表しなくなるように祈るばかりである。個人的にはセカンドライフで基本的には満足しているし、あとは直感的な操作を可能にするハードウェアの開発と配布が必要だと考える。リンデンラボもこの点は色々と試行錯誤を重ねているようだ(関連記事)。最後にmeet-meのスクリーンショットを貼り付けておく。
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コメント
何か初めに結論ありきの文章と思える。
セカンドライフとの比較で違うから悪い違うから悪いとさかんに繰り返しているが、それは好みの問題だし、違いがなければ物真似でしょう。
筆者がメリットと考えているバーチャルな創造活動や経済活動のわずらわしさや胡散臭さ、空を飛んだりテレポートしたりという現実社会にはありえない行動がSLから一般ユーザの足を遠ざけさせていることもまた事実なのだから、そこを限定して間口を広げる考え方は悪くないと感じる。
>日暮さん
コメントありがとうございます。
そうですね。私はセカンドライフのほうが好みに合っていますので、結論ありきの文章に感じられたかもしれません。私はバーチャルな3D空間は非現実的な現象こそ面白いと感じていますので、meet-meにもセカンドライフにも、その方面での発展を望んでいます。結局ハードウェアが変わる必要があると思っていますが。
>>日暮さん
そして相変わらず「やっていない人ほど語りたがる」というセカンドライフの魔力は健在ですね。meet-meを悪くないと感じるなら、ご自分で試用レポートをあげることを期待します。
>ゆきちさん
コメントありがとうございます。
確かにマスメディアの記事を読んでいると、事業者のプレスリリースをコピーし、実際に使用した形跡が感じられないようなものも多いと思います。無料Webサービスの場合はネット環境があれば誰でも使えますので、なるべく試用してもらいたいところです。
とはいえ、日暮さんが試用されているかどうかは私には判断できませんが・・・。
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