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【主張】裁判員制度 成否は国民の協力次第だ

2008.4.15 02:17
このニュースのトピックス主張

 国民が殺人などの重大な事件について、職業裁判官とともに刑事裁判を行う「裁判員制度」が来年の5月21日からスタートすることになった。

 これまでのわが国の刑事裁判を根底から変革する大改革だけに、裁判所、法務・検察、弁護士の法曹3者はもとより、国民が一致協力して同制度を軌道に乗せたい。それには、国民の負担をできる限り軽減するよう政府は、この1年努力しなければならない。

 5月21日というのは、4年前に裁判員法が国会で成立した“記念日”に当たる。裁判員制度は、国民の社会常識を刑事裁判に反映させることが大きな目的で、裁判員が参加する刑事裁判の対象事件は、殺人のほか強盗致傷、放火、危険運転致死などの重大事件である。それだけに、選ばれた裁判員の責任は重い。

 裁判員裁判は、選挙人名簿からくじ引きで選ばれた20歳以上の有権者6人が裁判官3人と一緒に審理し有罪か無罪か、有罪の場合は量刑をどのくらいにするかを決める。裁判員裁判は1審のみだ。

 法律の専門知識がない一般の国民が人を裁くだけに、法曹3者の懸命の普及、啓蒙(けいもう)活動にもかかわらず、積極的に参加したいという人は少数派で、最近の最高裁の調査でも「参加したくない」がまだ、4割近くを占めている。

 国民が不安を抱くのは、当然である。制度が始まる1年後に向けて、政府は国民の不安解消のため最大限の努力を払い、不備な点を是正していくことだ。

 裁判員に選ばれた人は、専門的な法律上の解釈はプロの裁判官に任せ、法廷での審理に耳を傾け、自分の意見を堂々と述べればよい。何も職業裁判官に臆(おく)することはない。裁判員裁判では、裁判官と裁判員は対等の立場にあることを忘れてはならない。

 裁判員裁判では、初公判前までに争点を絞り込む公判前整理手続きが義務づけられている。すでにこの手続きによる裁判は、各地で行われており、裁判の迅速化が実証されている。だらだらと続く以前のような裁判は、姿を消そうとしている。裁判員制度がなければ実現しなかった利点である。

 しかし、裁判員の辞退理由をどこまで認めるかなど、問題は山積している。裁判員裁判が始まれば、さらなる問題点も指摘されるだろう。その都度適切に対処し、改革していくことだ。

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