横須賀のタクシー運転手殺害で逮捕された米兵が「人を刺せという声を聞いた」と供述し、弁護士が「刑事責任能力に触れざるを得ない」と述べたという 三年前、広島で起きた女児殺害事件のペルー人容疑者が「悪魔が入ってきた」と主張して、精神鑑定が控訴審の焦点となっている事件を思い出させる 「太陽がまぶしかったから殺した」とのいわゆる不条理殺人は小説「異邦人」で知られるが、そんな文学的な次元の話ではなかろう。意味不明の供述をして精神鑑定で免責や減刑に結びつける意図が見え隠れする 最近の国内犯罪でも精神鑑定が話題になる異常な事件が目立っている。常識で理解できない犯罪の増加は病んだ社会を映し、外国人の犯罪は精神鑑定が必要な国内事件を真似ているようにさえ見えてくるのである 東京で起きた出会い系サイトの事件は、ネットが悪魔の正体を隠したようなものだろう。ネットの向こうにいるのが天使か悪魔か疑問に思わない風潮にも戸惑うが、過去の常識が通用せず、仮想と現実の区別もつかない人間が増えていることだけは直視しなければなるまい。
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