エンゼルス戦の五回、投手交代を待ちながらイバネス(左)、モース(右)と話すマリナーズのイチロー=セーフコ・フィールド(共同)
「マリナーズ5-10エンゼルス」(13日、シアトル)
マリナーズのイチロー外野手(34)は3打数無安打2四球で、3試合ぶりに安打なしだった。城島健司捕手(31)は欠場。
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勝敗が決した本拠地が不穏な空気に包まれた。8点のリードを許しての七回。スパイアーが1ボールから投じた2球目がイチローに向かって真っすぐ伸びた。体を引いて間一髪でかわしたが、バランスを崩し打席から飛び出した。地元ファンのどよめきが渦巻く中、今度は145キロ直球が体の後ろを通過。即座に球審は危険球と判断し、両チームへ警告を発した。
「狙ってるんでしょ。昨日のハンターのことじゃないの」。打席の中でイチローは敵軍の“殺気”を感じ取っていた。前夜の同カードで、相手中堅手のハンターがマ軍の投手から左手に死球を受けた。2つの“暴投”は、報復の可能性もある。結局、四球で歩き、事なきを得たイチローは「当てられないんだ、って感じ。狙ってるのに当てられないのはかわいいよね。すごくかわいい」と笑ってさえみせた。
“かわいい”という皮肉は、審判の警告に対して、ベンチを飛び出して抗議を始めたエ軍ソーシア監督にも向けられた。「明らかに狙ってるのに監督がああいう感じで出てくるのがかわいいね。怒ってるさまがキュート」と言ってまた笑った。