【カイロ高橋宗男】イラク内務省報道官は13日、南部バスラなどで先月末に展開されたイスラム教シーア派の対米強硬派、サドル師派の民兵組織マフディ軍の掃討作戦で戦闘を放棄したとして、軍や警察の治安部隊要員1300人を解雇したことを明らかにした。ロイター通信が伝えた。
先月の作戦では、イラク治安部隊に対しマフディ軍が頑強に抵抗し、衝突は南部各地やバグダッド東部のサドルシティーにも拡大。イラク治安部隊の相当数が攻撃命令を拒絶し、マフディ軍側に武器を引き渡すなど、治安部隊の能力や規律の欠如が明らかになった。
ロイター通信によると、イラク政府はバスラに展開した軍、警察の幹部を含む900人以上と南部ワシット県に配置された要員を解雇。処分はマフディ軍が治安部隊に対抗しうる戦力を有する状況を浮き彫りにしている。
米国のゲーツ国防長官は10日の上院公聴会で、マフディ軍と関係する武装組織について「最大かつ長期的脅威」と述べ、サドル師派と他のシーア派組織の対立が治安状況に与える影響を警戒した。
これに対し、サドル師派を率いるムクタダ・サドル師は12日、「お前たち(米軍)は我々が流す最後の血の一滴まで敵であり続ける」との声明を出した。
毎日新聞 2008年4月14日 18時40分(最終更新 4月14日 19時11分)