再送:インタビュー:08年度の運用計画、金利上昇期待できず現状維持=三菱東京UFJ銀

2008年 04月 14日 07:39 JST
 
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*以下の記事は、11日午後7時03分に送信しました。

 [東京 11日 ロイター] 三菱東京UFJ銀行は2008年度の債券運用計画で、リスク量を増減させることはなく現状のポジションを維持する方針。サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)問題によるクレジット市場の悪化をきっかけに拡大させたポジションを、07年度下期にほぼ中立水準まで戻している。国内外の景気は年度後半にかけて回復の兆しを見せ始めると見込むものの急激な金利上昇は期待できないため、当面は状況を見極める様子見の姿勢になるという。

 同行の円貨資金証券部・副部長、峯島泰樹氏がロイターとのインタビューで語った。

 ──国内の景気・金融政策見通しは。

 世界的な金融政策の方向性から見ても、すぐに日銀が政策金利の引き上げに向かうことは難しい。足元の実体経済が数字として現れているので、金融政策は緩和方向のスタンスを維持せざるを得ないだろう。日銀の4月金融経済月報などでも示されているように、日銀は明確に景況感の下方修正に動いており、市場も景気の減速を織り込んでいる。一方で、日銀が率先して利下げを実施する可能性も低く、政策金利は年度内は据え置きを予想している。

 もっとも、先を見越せば株価は上向きだと予想している。年明け以降の日経平均株価はすでに底を打ったとみており、力強く回復とは行かないまでも、年度末にかけて1万6000円台か、場合によってはそれ以上に高い水準を回復してもおかしくない。

 ──債券運用の基本方針は。

 景気に対して先行する株価とは異なり、債券市場は遅行しがちなので、株価が堅調でも金利が急激に上がるとは考えづらい。少なくても年前半の金利上昇は期待できず、円債市場は方向感をつかみにくい状況が続く。10年最長期国債利回り(長期金利)は上期に1.2─1.5%、通年で1.2─1.7%程度とみている。

 07年度下期の運用では、サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)問題によってクレジット全般が痛み、景気実態に悪いものが出てくるという見通しの下で、やや多めにポジションを持ち、残高は増えた。具体的には2年債などの短期債を減らし、5─10年の中長期債を中心に増やした。

 その後、新年度に向けて3月下旬あたりからロング・ポジションにしていた部分を中立的な水準まで減らし、拡大した投資を完全ではないがニュートラル近くまで戻した。ただ、下期と反対に中長期債を減らし短い債券を増やしたので、債券全体の残高としてはあまり変わらない。短期債は2年債は買いづらく、資金繰りの調整の観点から1年以下の割引短期国債(TB)、政府短期証券(FB)が中心だった。その期間の利上げの可能性が低いことや、資金のめぐりが悪い中でターム物金利が上昇し、短期国債はポジションを持ちやすかったためだ。

 現時点で、今年度は極端にリスク量を増減させることはなく、基本的には今のポジションを維持する方針だ。政策金利が据え置きのまま推移し、トレンドとしての相場の方向性が出ないと見込んでいるので、しばらくは状況を見ながら、相場の流れで若干の調整をする程度にとどめる。年度末にかけて、来年以降の展望として今よりも明るい景気のイメージが描けるようになるので、ここから金利が下がった場面では売りの姿勢だろう。

 ──米国の先行きは。

 多くの金融機関ではクレジットを中心にポジションがかなり悪化しているようだが、その実態を全てつかむのは難しい。同時に金融市場の混乱がそろいつ収束に向かうのかを決め付けるのも難しく、危機状況に対する米連邦準備理事会(FRB)の対応をたんたんと見守るしかないだろう。ただ、金融危機の度合いに対する民間の金融機関とFRBの認識は共有されていることは強味だ。年末越えを通過し、そろそろ出そろう金融機関の決算で悪い部分を確認、それに対する資本の増強や流動性対策が整ってくれば、少なくても来年以降の回復の絵がクリアに描けるようになってくる。これまでの損失の額が大きいので今年中にバランスシートがきれいになることはないだろうが、健全化に向けた道筋はおそらく6月辺りから見え始めてくる。そのタイミングが、相場の転換点となるだろう。

 

 (ロイター日本語ニュース 田中 志保記者、茂木 千香子記者)

 
 

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