UPDATE1:長期的運用の観点から円債・外債とも残高維持=08年度・第一生命運用計画
[東京 14日 ロイター] 第一生命保険は、2008年度の一般勘定資産の運用計画で、円債、外債ともに残高は横ばいとする見込み。金利が上昇する場面で円債を買い増す方針に変わりはないが、緩やかな景気回復の中で金利の急上昇が見込めず、現段階では積極的な残高の積み増しは検討していない。外国債券は07年度下期に続き、ヘッジ債、オープン債とも現状の残高を維持する。その他の資産も含め全体の残高の大きな増減は見込んでいないが、外国株式、オルタナティブ投資は基本ポートフォリオに若干満たないため、収益チャンスがあれば積み増す余地がある。
第一生命の運用企画部・運用企画室、飯田貴史課長がロイターとのインタビューで明らかにした。詳細は以下のとおり。
<国内債券>
07年度下期の国内債券の残高は、同年度上期からほぼ横ばい。長期的な観点によるALM投資を基本に金利が上昇すれば長期・超長期債を中心に積み増す方針は変わらないが、07年度下期は金利が急激に上がる局面がなく、結果として残高は変わっていない。
今年度も同様のスタンスで臨む見込みで、現時点で残高の大きな増減は考えていない。金利が上昇すれば積極的に投資のチャンスとして捉えて行きたいが、短期的な相場の上下で投資スタンスを変えないというのが運用のポリシーなので、そう大きく資産を動かすことはないだろう。
日本経済は、米国と歩調を合わせ、下期の方がより回復基調が鮮明になる。日銀は利下げに踏み切る可能性は低いとみているが、利上げも難しいだろう。年度内の10年金利のレンジは1.2─1.8%、年度末で1.7%を見込んでいる。
<外国債券>
国内債券と同じく、07年度下期はほとんど手をつけていない。オープン外債とヘッジ付き外債の比率や、ドル建て・ユーロ建て・その他の比率も大きく変わらず。下期は昨年以降の円安基調が完全に反転し、ドル安/円高のあおりで時価が目減りしたが、途中で大幅にポジションを削減することはなかった。今年度はこの残高を同水準に維持する見込み。
米景気の足元は混乱しているものの、年度を通じてみた場合、成長の伸びは鈍化しても極端に深刻な状況に陥ることはないとみている。サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)を発端とした金融不安に対しては、公的資金の導入などそれなりの手を尽くし、米連邦準備理事会(FRB)の連続利下げの効果も徐々に出てくるだろう。景気は上期で底打ちした後、財政や金融政策が個人消費を下支えする形で実体経済も緩やかながら下期にかけて回復していくと見込んでいる。
米国の長期金利のレンジ見通しは3.25─4.5%、年度末で4.0%、ドル/円のレンジは100─115円、年度末で110円、ユーロ/円のレンジは150─165円、年度末で160円と予想している。
<国内株式>
下期の国内株式はポートフォリオの基準に応じて多少の入れ替えをしたが、全体の残高は横ばい。今年度も大幅に増減させる計画はない。
日経平均株価の予想レンジは1万1000円─1万7000円で、年度末で1万6000円を見込んでいる。国内株式相場において、海外投資家の動向の影響はかなり大きく、足元はリスク資産への投資を回避する動きが主流だが、世界的に見て日本株の価格は総じて安い。年度後半に不確定要素が徐々に解消されていけば、日本株の価値が見直されることになるだろう。
<外国株式・オルタナティブ投資>
外国株式とオルタナティブ資産は長期の基本ポートフォリオに近い残高はあるものの、金額を増やす余地があるとすればこの部分。07年度下期は保有比率自体が低いので金額は小さいものの外国株式を微増させており、08年度も投資するチャンスがあれば外国株式から手を付ける。その際は、いかに効果的にリスク分散を行うかという観点で、基本ポートフォリオを決定するリスクとリターンのバランスから大きく外れないよう、先進国、新興国を含む株式の偏りがないような投資をする。パッシブな運用方針だが、リスク分散を最優先したうえでのスタンスだ。
なお、米国のダウ工業株の予想レンジは1万0500ドル─1万3500ドル、年度末で1万3000ドル。
オルタナティブ投資も外株投資と同様で、目標としているポートフォリオに近い水準に達しているが、引き続きファンド・オブ・ファンズを中心に積み増す余地はある。もっともオルタナティブ資産には、金融市場の混乱が飛び火しているので積み増しは必須ではなく、慎重にチャンスをうかがいながら投資をする。07年度下期は残高の増加はなかった。オルタナティブ投資はリスク資産の中で分散を高めていくと言う視点で取り組んでいるので、市場が落ち着いてリターンが高まってきたから投資をするというよりは、リスクの構造をチェックしたうえでリスク分散に寄与すると思われるものに投資をする方針。
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