このほど開かれた「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の設立記念シンポジウムの自由討議で、同議連の尾辻秀久会長(元厚生労働相)は日本医師会の内田健夫常任理事に対し、2007年度から5年間で1兆1,000億円の社会保障費削減を求めている経済財政諮問会議(首相の諮問機関)に対する見解を求めた。内田常任理事は「いかに帳尻を合わせるかという議論しかなく、非常に不満」と応じた。
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尾辻会長は「きょうの話の中で、一番根源に触れることを一点だけ質問させていただきたい。厚労相をさせていただいた時の恨みを込めて話しだすと、かなり興奮して止まらなくなるので、あくまでも質問で」と前置きした上で、「日医の経済財政諮問会議に対する評価を聞きたい」と尋ねた。
内田常任理事は「経済財政諮問会議は国の将来を考える会なのに、医療や社会保障、教育を考える立場の人がいないことが非常に大きな問題。(社会保障費に)財源を掛けなければ国の将来はないのに、いかに帳尻を合わせるかという議論しかなく、国の将来をどうするかという根本的な話がないことが非常に不満。あと3年(社会保障費削減が)続くと日本の医療は崩壊する」と答えた。また、高齢者の増加や医療の高度化に伴う医療費の増加について、「国民の共通認識として議論すべきだが、ただ横並びで(社会保障費を)削減しなければ国の財政が破綻(はたん)するという話しかしないのは非常に問題」と、不満をあらわにした。
尾辻会長はこれに対し、「わたしの言いたいことを言っていただき、ありがたい。2,200億円を来年度予算で削れと言われたら、日本の社会保障は崩壊する」と述べ、会場からは拍手がわいた。
共産党の小池晃参院議員は「自民党の尾辻議員の話に共産党のわたしが『本当にその通りだな』と思い、こういう場でそう言えるのは、しょっちゅうあることではない。経済財政諮問会議で2,200億円削減の議論が始まったが、力を合わせて『骨太の方針』の骨を抜こう」と、尾辻会長に同調した。
更新:2008/04/14 18:02 キャリアブレイン
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08/01/25配信
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。