厚生年金病院は公的に存続を

 社会保険庁が所有する全国10か所の厚生年金病院の公的病院としての存続を求め、地元自治体と住民代表が4月14日、各党の国会議員や厚生労働省に要請活動を行った。公的存続を求める署名が100万人を超えているほか、47地方議会が意見書を採択しており、要請活動では代表して大分県由布市の首藤奉文市長が「公的病院として存続させることが関係自治体と住民の総意だ」と訴えた。

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 政府・与党は2004年、社会保険庁改革の一環として、同庁の関連施設を整理することを決定。厚生年金病院は全国53か所の社会保険病院とともに、施設の売却・廃止を行う独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」に今年9月末までに一括して移管され、今後の運営形態が検討されることになっている。

 こうした中、医師や看護師の退職が相次ぎ、診療内容の縮小を余儀なくされる病院も出ていることから、地元自治体のほか、「大阪厚生年金病院を存続させ公的医療を守り発展させる会」や「厚生年金高知リハビリテーション病院の存続・発展を願う会」など、各地の住民団体が公的病院としての存続を求める活動を展開してきた。

 要請活動では、首藤市長らが「厚生年金病院は、地域医療の中核病院として救急医療や災害医療などを担うとともに、民間病院などと連携し、高度な総合的リハビリテーション病院として先駆的な役割を果たしてきた」と指摘。RFOが今後の運営形態を検討することについて、「病院がいつ売却・廃止されるか分からない状態に置かれ、地域医療の危機的な状況が深刻化する」として、「政府は問題解決を先送りせず、公的医療機関として存続させる方針を速やかに決断すべき」と要望した。

 これに対し、民主党の足立信也参院議員、共産党の高橋千鶴子衆院議員、社民党の阿部知子衆院議員、国民新党の自見庄三郎参院議員ら野党代表は、公的病院として存続させる必要性を明言した。しかし、与党側は自民党の菅原一秀衆院議員が「どういう方向がふさわしいかを検討することが与党の責任」、公明党の渡辺孝男参院議員が「公益的な機能を果たせる移譲先を見つけることも選択肢の一つ」などと述べるにとどまった。

 厚生年金病院については、山田洋二氏(映画監督)や筑紫哲也氏(ジャーナリスト)、西村京太郎氏(作家)ら著名人が公的存続を求める緊急アピールを発表している。


更新:2008/04/14 19:56     キャリアブレイン

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