昨年のNHK大河ドラマの武田晴信役が好評だった市川亀治郎が、東京・日生劇場公演「風林火山 晴信燃ゆ」(井上靖原作、大森寿美男NHK脚本より、石川耕士脚本・演出)で、晴信と山本勘助の2役をつとめている。
晴信と守り役の板垣信方の父子にも似た交流に焦点を当てているのが特色だ。板垣はテレビと同じJJサニー千葉(千葉真一改め)。千葉の舞台出演は22年ぶりだ。「千葉さんと舞台で何かやりたいと思っていたところに、お話をいただき、ならばテレビではできなかった晴信と板垣の物語を、と思いました」と亀治郎。
ドラマでは千葉の存在感に引きつけられた。「千葉さんに『こんなこともさせてみたい』という映画監督的な願望がかないました。舞台でも、千葉さんと並ぶと空気が変わる。1年間共演した密度の濃さがあります」
三条夫人(尾上紫)との婚礼から、父の信虎(笠原章)を追放して武田家の当主となり、川中島の合戦に出陣するまでの青春時代を描く。三条夫人との軋轢(あつれき)、由布姫との恋なども織り込まれている。
テレビで新人の柴本幸が演じた由布姫には、坂東三津五郎の長女の守田菜生を抜擢(ばってき)した。「舞台でも新人を、と思い、お願いしました。時代劇のお姫様の第一条件は着物が着られて所作(動き)ができること。菜生さんなら問題ないし、初々しさもあります」
勘助役については、「一つの芝居に2人の主人公を立てるのは難しい。ならば2役やっちゃえと。内野聖陽さんがテレビで見せた情熱的な勘助を念頭に置き、演じています」。
幕切れでは晴信が白馬にまたがっての宙乗りも披露している。高橋和也、嘉島典俊、大和田美帆、仁科亜季子らの共演。27日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。【小玉祥子】
毎日新聞 2008年4月14日 東京夕刊