療養病床の円滑な転換を−厚労省

 療養病床を削減する際の受け皿となる「転換型の介護老人保健施設」の名称が「介護療養型老人保健施設」(介護療養型老健)に決まったことなどを受けて、厚生労働省はこのほど、「療養病床の再編成と円滑な転換に向けた支援措置について」と題するパンフレットの改訂版(2008年3月版)を作成した。療養病床の再編成を進める視点として、同省は「高齢者の状態に合った適切なサービスの提供」「貴重な医療資源の効果的な活用」「国民の負担の効率化」などを挙げている。

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 高齢者に掛かる入院医療費を抑制するため、2006年に成立した医療制度改革関連法では療養病床の再編を定めている。

 療養病床の再編とは、慢性疾患を抱えた高齢者らが長期入院する療養病床について、医療の必要性が高い患者は医療保険で対応し、それが低い患者は病院ではなく、在宅療養や老人保健施設などに移すこと。医療保険で入院する「医療型の療養病床」(医療療養病床)を12年度末までに大幅に減らすとともに、介護保険を使う「介護型の療養病床」を全廃する予定だ。
 このため、同省は医療療養病床を持つ慢性期病院などに対して介護療養型老健に転換することを求めているが、転換がなかなか進まないため、パンフレットを作成するなどして転換を呼び掛けてきた。

 今回のパンフレットは昨年9月に公表した内容の改訂版で、介護療養型老健の創設について詳しく解説している点が大きな変更点。また、看護師や介護福祉士らの人員配置の基準に関して、図を用いて分かりやすく説明している。
 さらに、転換した老健施設の設備基準の緩和も明記。できるだけ新築や改築をせず、工事費を減らして円滑に転換するための措置について示している。

 療養病床の再編について、パンフレットでは「病床を閉鎖するのではなく、円滑な転換によって、入院している方々の追い出しにつながらないようにすることが前提」としている。

 同省の担当者は「転換に伴う工事費を少なくするように設備基準を緩和しており、転換しても経営の収支が悪化するとは考えにくい。現場の医師の意見を聞くと、『やはり医療がやりたい』というこだわりがあるように感じる。転換を阻害しているのは、そのような心理的な部分ではないか」と話している。


更新:2008/04/14 12:50     キャリアブレイン

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