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捕鯨問題「外交的に解決」 豪首相、本社主筆と会見

2008年03月25日22時24分

 昨年11月の総選挙で11年ぶりに労働党に政権を奪還したオーストラリアのケビン・ラッド首相(50)は25日、キャンベラの首相執務室で、朝日新聞の船橋洋一主筆と会見した。首相は日豪間で対立の続く捕鯨問題について「外交的に解決できることに楽観的だ」と述べ、国際司法裁判所などへの提訴でなく、外交努力による解決を目指す意欲を明らかにした。さらに両国関係は「豪政府にとって間違いなく中核的な関係だ」と強調。安全保障での日米豪の協力枠組みと合わせ、対日関係を重視する考えを示した。

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捕鯨問題をめぐる日豪の動き

 ラッド氏が、昨年12月の首相就任以来、日本の報道機関と会見するのは初めて。

 捕鯨反対を公約に掲げたラッド氏は、政権発足後、日本の捕鯨船を追跡する税関の巡視船を派遣するなど、強硬な姿勢を崩していない。会見でも「調査捕鯨が、科学的調査か商業捕鯨かの事実を確立すべきだ」と訴え、日本の調査捕鯨を商業捕鯨と批判してきた豪政府の立場を繰り返した。その上で「非常に困難な問題だ」として、両国が直ちに歩み寄るのは難しいとの認識も示した。

 ハワード前政権時代に強化された日米豪の安全保障面での協力枠組みについて、首相は「我が国の国益にかなう」と評価し、今後も堅持する方針を強調した。その一方で安倍前首相が提唱した、インドを加えた4カ国の協力枠組みには否定的な考えを示した。

 ラッド首相は初の本格的な外遊として27日から米国や欧州、中国を訪れる。捕鯨問題に加え、日本が今回の訪問先から外れたことを懸念する声が出ていることについて、「豪日関係は強固で成熟し、健全な関係だ」と、両国間の根本的な関係が損なわれることはないとの認識を示した。

 また首相は、オブザーバーとして招かれている7月の北海道洞爺湖サミットについて、「気候変動問題が極めて重要な課題となる」とし、ポスト京都議定書を占う会議と位置づけた。その上で「福田首相がサミットをどう運営するかにかかっている」と、日本の指導力に期待を表明した。

 チベット情勢の緊迫化を受け、今回訪問する中国での胡錦濤(フー・チンタオ)主席との会談では「人権上の懸念を提起する。今までも提起してきたし、今後も取り上げる」と述べた。

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