日本政府が九日、新型インフルエンザ対策案を発表したのに続き、インドネシアもヒト同士の感染が始まった場合の総合対策を十八日にも発表する。国家鳥インフルエンザ委員会のバユ・クリスナムルティ委員長が十一日、じゃかるた新聞との会見で明らかにしたもので、空港での感染疑い者のチェック、入国拒否などが盛り込まれるという。インドネシアでは世界で最も多い百七人が鳥インフルエンザで死亡、感染の拡大が続いており、国家的な対策の整備が急務になっていた。
クリスナムルティ委員長は「インドネシアもヒト同士の感染が起こる『フェーズ4』に向けた対策を用意している。十八日にも発表する予定だ」と明らかにした。「国内線の利用者も含め、空港で感染の兆候がみられた人は出発地へ戻るよう命じたり、感染者を隔離するなどして拡大を防止することになるだろう」と語った。
また、二十五─二十七日にバリ州のデンパサール、タバナン、ジュンブラナで数百人が参加する過去最大のシミュレーション訓練を実施する。
同委員会のアンディカ報道官によると、デンパサールではングラライ空港で人の移動の規制、タバナンではタバナン総合病院で医療体制の訓練、ジュンブラナでは住宅地などでの感染防止対策を演習する。
クリスナムルティ委員長は「インドネシアでは年間十三億羽の鶏が消費され、鶏肉は国民のたんぱく源の六〇%を占めるともいわれている」と指摘。
立派な雄鳥が愛好家の間で高値で取り引きされるなど、鳥を飼育する文化があり、規制は簡単ではないと認めた上で、「全国の鶏のうち、約三〇%が一般家庭で飼育されている。ジャカルタでは二〇一〇年までに、鶏の放し飼いと生きた鶏の取り引きを禁止する」と語った。
東ジャワ州スラバヤや北スマトラ州メダンでも同様の規制を検討しているほか、ジャワ島とスラウェシ島南部で農村部での周知活動も強化しているという。
「鳥インフルエンザに限らず、新種の疾病の六〇%が動物から来ている。人間と動物の生活エリアの分離を行いたい」と語った。
また、「われわれの調査では国民の七九%が鳥インフルエンザの危険性を認知しているが、実際の死者が多い結核などの方が注目を集めている」として周知活動を強化するとしたほか、鳥の感染が発生した場合の大量処分、医療スタッフの育成も進めていくとの方針を示した。
国家鳥インフルエンザ委員会は二〇〇六年、保健、畜産、経済など多分野にまたがる鳥インフルエンザ対策を効率的に行う調整機関として発足。約二十人の委員がおり、クリスナムルティ委員長は経済担当調整相事務所で畜産・漁業担当の次官。
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対策の順調な進展を強調するクリスナムルティ委員長
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