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ロシア軍で内紛か 改革めぐり国防相と参謀総長が対立

2008年03月28日06時53分

 ロシアで軍改革をめぐり、国防相と参謀総長の対立が激化し、国防相の軍改革案に反対する参謀総長が辞表を提出した、と主要紙が報じる事態になった。国防相はプーチン大統領の強い支持を受けているが、軍の内紛はメドベージェフ次期大統領にとって大きな重荷となりそうだ。

 独立新聞などによると、今年1月、セルジュコフ国防相の指令で準備が進む海軍総司令部のモスクワからサンクトペテルブルクへの移転について、バルエフスキー参謀総長が軍関係の会議で「時期尚早だ」と反対を公然と唱えた。

 さらに国防省など軍の中央機関に働く要員の4割削減や、モスクワなど大都市にある軍の用地や施設を民間に売却・賃貸する国防相主導の政策でも対立が深まった。

 国防省は26日、参謀総長の辞表報道を否定。一方で、「軍改革で不利益を得る者たちが、機先を制そうと不正確な情報を流している」とし、内紛は否定していない。

 セルジュコフ氏は、連邦税務局長から昨年2月に文民の国防相に任命された。軍事機密の絡みで透明度の低い軍予算へのクレムリンの管理を強める狙いから、プーチン大統領が決めた人事だ。

 しかし、国防省に近い筋は「軍事ドクトリンもなく、いきなり要員削減や資産の処分を命じられることに軍内部の不満が高まっている」とする。

 報道などによると、辞表は作戦・指揮部門トップの参謀総長のほか、国防省や参謀本部の幹部数人も提出したという。しかし、政権側は5月のメドベージェフ次期大統領の就任までは、内紛の表面化を避けるため辞任を認めない方針という。

 参謀総長は25日まで休暇扱いとされ、米国のミサイル防衛施設配備問題を巡って18日にモスクワであった米ロの外相・国防相会議にも関与をしない異常な状態だった。

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