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【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】(154)
こと人権となると必要以上に張り切る朝日が、なぜか音無しの構え。いわゆる朝日文化人もほとんど発言をしない。
〈なぜ、「南京大虐殺」を報道する熱意で、「チベット大虐殺」を書かないのか〉(リード)という『週刊新潮』の主張はまさにわが意を得たりだ。
「聖火と共に『北京五輪欠席』の輪が広がるのに中国を批判できない朝日の『チベット報道』」(4月17日号)。『新潮』が皮肉っているのは4月3日の社説「福田首相はもっと語れ」。
〈中国が国際社会から非難され、信頼を失うのは、隣国の日本にとって見過ごすことのできない(中略)首相はチベット問題の深刻さを、もっと明確な言葉で中国に語るべきだ〉
中国が国際社会から非難され、信頼を失うのは自業自得だと思うが、朝日は見過ごせないらしい。
たしかに福田総理が中国にハッキリ言わないのは事実だが、では朝日はどうなのか。
たとえば1987年10月4日、「チベットの不幸な流血事件」という社説。〈国外にあるダライ・ラマとそのグループを含むチベット関係者は、中国の一部としてのチベットの現実に冷静な目を向けてほしい。およそ二百万人のチベット族の平和な生活のためにも、無謀な挑発が行われるようなことがあってはなるまい〉
89年、ダライ・ラマ14世がノーベル平和賞に選ばれた際には授与反対の論陣を張った。〈平和のための賞が結果として、チベットの緊張を高めるおそれさえある。(中略)「平和賞」の名が泣こう〉
まさに中国の代弁者。朝日に福田総理を批判する資格などない。
『週刊現代』(4月19日号)「緊急提言ワイド『あなたの共感 雅子さまか、美智子さまか』」。福田和也氏ら15人の識者の論に新味ナシ。手前味噌だが今、話題沸騰、『WiLL』5月号、西尾幹二氏の「皇太子さまへの御忠言」を読むべし。
(『WiLL』編集長)