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| ----第9回鹿島杯予選で姉妹2人とも抜けたんだよね。公式戦で姉妹対決はまだ? |
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当たってないですね。 |
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----当たったら意識するかな? |
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渋々指すって感じ。 |
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----育成会のときはあんまりこだわりなかったでしょ? |
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うーん、やっぱり嫌は嫌でしたけどね。 |
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----当たるならいいところで当たりたいよね。 |
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そうですね。お互い勝ち上がって上のほうで当たりたいですね。 |
----中倉姉妹は、多少チヤホヤされたって所詮将棋界の中のことだから、イケてると 勘違い
してはいけないという話を姉妹でするって聞いたことがある。 |
そうですね…小さい頃から将棋をやってきて、きっと知らないことも多いんだろうなと。
バイトしたこともないし。だから普通の年齢相応のことがしたい、なりたいっていうのが
あります。普通っぽく見られるのはいいなって。かといって将棋をダサい感じに思われ るのも嫌なんですけど。 |
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----姉妹で恋話(こいばな)もするって。 |
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あー、しますね、何でも。 |
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----女流棋界の話題はしないの?中倉姉妹って不言実行型っていう感じなんだよね。 |
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逆にしないかもしれないですね。 |
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----将棋の研究はやる? |
姉妹ではやらないですね。この局面知ってる?とか、ちょっとした会話の流れで将棋の 話に
なることはあります。 |
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----VSとかは? |
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ないですね。育成会に入った頃からやってなくて。 |
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----仕事の話もあまりしない? |
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事務的な話くらいですね。 |
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----じゃあやっぱり、こいばな? |
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なんかお姉ちゃんには隠し事が出来ないっていうか、全部言わなくっちゃって。 |
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----お姉ちゃんがアドバイスするの? |
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そうですね。結構心配してるみたいです。 |
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----お姉さんが結婚してとりまく状況が変わ った今、思うところはありますか? |  |
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中座さんがいい人で、棋士のイメージが変わりましたね。今までは
棋士に対して引け目を感じていたんですよね、棋士より弱いのにプロとして女流棋士が
同じように扱われていることで。だから棋士の人は恋愛対象にならないと
思っていたんですけど、でもそんなのは関係なくて、女流のことを認めてくれている
棋士の人もいるんだというのが分かったんですよね。 |
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----中座さんは認めてくれている? |
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認めてくれていますね。お互い目指すところは棋士は棋士のトップ、女流は女流のトップで。
対戦になるとまた違うとは思うんですけど、でも他の棋士の人にはきつい感じで言われた
こともあったので。 |
----「しょせんコンパニオンなんだから」とか 言われたんでしょ。 |
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奨励会とか、棋士の人たちがやってきた大変さを経験してないと思われて…実際それは
そうなんですけど、指導対局もロクにできないで、みたいな感じで泣かされた
思い出があるので。 |
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----言われたときは言われっ放しなの? |
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いや、反論はしてたんですけど…結局奨励会を経験してないし、実力のことを
言われちゃうと返す言葉がないんですよね。いろいろ他の女流の役割的な
ことで反論はしてたんですけど。やっぱり認められてないと感じてました。 |
----女流は女流で、対局を一生懸命やって るっていう自負はあるよね。 |
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ありますね。 |
----でもそう言われちゃうとねえ。言われ 続けて落ち込んでモチベーションが下 がった
というのもあるかしら。 |
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中に長くいると、夢を描いてたものが見えちゃうというか、あまり夢として見られなく
なったところもありますね。それでも「変えてやるんだ」くらいの気持ちでずっと来てたん
ですけど、そのエネルギーが、なかなか継続はむずかしくて。 |
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----仕事の機会も多かったと思うし、言われやすい立場だったのかもね。 |
でも、具体的に抗議するというよりどっちかっていうと、姉妹でじっと耐えていて、 いつか
見返してやる!(笑)みたいな。 |
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----普通、悔しかったら切れてもおかしくないのに。 |
それもプラスにしていかないと。そうやって叱咤激励してくれて、もっと頑張れって こと
なんだろうなとか、もっと強くなれると思ってくれているってことなのかなと。
でも、逆に言われてることが当たってたりすることもあるんですよね。タイトル戦 を
何で控え室に見に来ないんだ、とか。もう少し謙虚に受け止めなければいけな いのかなと
思ったりして。 |
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----今はそういう居辛さとかはどうですか? |
さすがに今はこの世界に10年もいるのでデビュー当初のような控え室に居辛い
、、、ということはなくなりましたね。厳しいだけでなく、言わなくても認めてくれて いる
棋士の方も結構いて、、佐藤康光先生とかも、 ご一緒したときにファンの方 から「女流はどう
やってなれるんですか?」って質問があって、 奨励会とは違っ て育成会という仕
組みがあるんですよって説明したんですけど、私としては 「奨 励会は厳しいけど
育成会から上がるのは簡単」って思われちゃうかなと思ったら、 佐藤先生が「半
年に1人しか上がれないんですよ、すごく厳しいんですよ」って 言ってくれて、、、嬉しかったですね。
そういう言い方をしてもらえると「じゃ大変なんですね、すごいですね」って感じで 女流棋士のイメージも上がるじゃないですか(笑)。あ、そういうふうに思ってくれ
てる人も いるんだーと思って。育成会なんて簡単って思っている人が多いのか
と思っていたので、 建前としてでもありがたかったですね。そういう感じで仲間 意識的に仲良くなれればいいかなと思います。
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----宏美ちゃんって普段は不言実行型だけど、原稿のときだけ思いのたけを出してる ような気がする。 |
| あとから読み返すと「あーっ、熱すぎる」って(笑)。なんか原稿は熱くなっちゃうんですよね。 |
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----せっかくの機会だから伝えたいって感じ? |
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印象に残る文章を書きたいっていうのがあったり、正直に書こうっていうか・・・。 |
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----けっこう踏み込んで書いてるけどね。反響ってあります? |
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うーん、あんまりないです(笑)。 |
----女流HPのリレーエッセイはアンケートの中でも、良かったコンテンツで挙げてる 人がけっこういて、
その中でも宏美ちゃんのが良かったって書いている人が何人 かいたから、伝わっている人には伝わっているんだけど、
もっと響くといいね。 |
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そうですね。 |
----お姉ちゃんがいなくても女流棋士 になっていたと思う? |  |
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小さいときからいつも二人っていうのが大きかったので。二人でいたから将棋続けていたかもしれないですね。 |
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----今後の目標や夢などありますか? |
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将棋に関しては今までの熱い想いで言ってきたことと変わらないです。言うほどちゃんとやっているかと
いうとまだまだ足りないので、その辺がちょっと・・・。とりあえず強くなりたいという感じですかねえ。
最近他の企業の方と会う機会が増えたり、女流棋士会のための活動も宏美流でやりたいです。
趣味のほうはバイクでブラリ将棋旅みたいなことをやりたいです(笑)。 |
----いいね。じゃ、どこかやってくれる ところを募集しよう(笑)。 |
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乗っかってくれないかなあ(笑)。趣味と実益を兼ねて。
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インタビュー・文/大庭美夏 写真/藤田麻衣子・松本博文 |
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