本紙「ちまた」への一本の投稿が、読者と教師、生徒を結びつけた。
岡山市の元会社員、塩飽和志さんは一月、倉敷の大原美術館を創設した大原孫三郎の事績を紹介する本紙の記事に目をとめた。先を見る目を持ち、社会貢献にも力を注いだ孫三郎。「おかやま歴史塾」の講演をまとめたものだ。新聞を使った学習「NIE」について紙面を通じて知っていたので、「生徒に読んでほしい」との願いを込めて、ちまたに送った。
投稿を読んだ岡山県立東岡山工業高校の赤澤大史教諭は、面白そうだと思った。記事を七クラス約二百八十人に配って同僚と二人で授業をし、生徒に感想を書かせた。
その一人、中尾隆宏君の感想文をちまたに送ると、三月に紙面掲載された。これを読んだ塩飽さんは感動した。孫三郎の生き方を中尾君は自身に照らして考えている。若者に伝えたいと思っていた通りの内容が書かれていた。思わず学校へお礼のはがきを出した。
学校からこの話を聞きいた私は「単に偶然が重なったのではなく、NIEが一般にも知られ、広がっているからではないか」と思った。こうした読者、教師、生徒の輪が、もっと広がってほしい。
インターネットで事足りると思われがちな昨今だが、学校を応援することで、新聞は教育に役立つメディアの一つとして活用されると確信している。
(地域活動部・赤田貞治)