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2008年4月13日

 「人生笑ってなんぼ」を本紙で連載中の京唄子さんに講演を依頼した人に聞いた話である。迎えの車が着くと唄子師匠はさっさと助手席に座ったという

「前の方が何でもよう見えて面白い、気にせんといてください」と言うのだった。後部座席に腰掛ける迎えの人は、たいそう居心地が悪かったが、八十歳を超えた唄子さんの元気の秘訣を見た思いだったという

「人は年齢を重ねた時に老いるのではない」との有名な詩がある。青春とは人生の一時期を言うのではなく、心の在り方であり、好奇心をなくした時に老いる、とうたうサミュエル・ウルマン、八十歳の時の詩である

唄子師匠が上方演芸資料館に殿堂入りした話が連載にあった。笑いの街大阪らしい施設だが、財政再建で存続か移転かの論議も起きている。唄子さんは「知事は走りすぎ」と三十代の知事の考えに釘(くぎ)を刺したとも聞く。大阪から笑いの力を薄めれば、老化するばかりだろう

好奇心と笑いは、心の体操だ。街に若者が目立つ季節。中高年も唄子さんに負けず大きな口を開けて春の風を吸い込み、「青春」を実感してほしい。


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