家電量販、知っ得サービス──価格以外の便利さ競う、１年内故障に見舞金

家電量販店の価格競争が激化している。家電製品は大部分がどこで買っても中身が同じといわれ、消費者も値段を重視しがち。ただ、品ぞろえやサービスで店ごとの違いは多い。価格差以上の利点を発見することもありそう。

　「台所をリフォームするなら冷蔵庫と照明も買い替えようか」。週末のミドリ電化伊丹店（兵庫県伊丹市）にはこんな会話を交わす家族連れが訪れる。リフォーム客向けのショールームを併設、オール電化などと併せて導入相談に応じている。家電製品だけでなく家具、インテリアなども幅広く取り扱い、まとめて買い物ができるのが特徴だ。

　引っ越しや結婚などで家財道具を一気にそろえたい人に好評だという。配送も自社で手掛けるため、エアコンなど工事を伴う商品と、家電商品も要望があれば同時に配達可能だ。

　関連商品が充実しているのがヨドバシカメラのマルチメディア梅田（大阪市）。ハードディスクやＬＡＮケーブルなどパソコン周辺機器は約1万2000アイテムを用意。バッグや三脚、フィルターなどカメラ関連商品は5万4000アイテムに達する。

　故障に備え、メーカー保証以外に独自の保証サービスを持つ家電量販店も多い。ただ、対象商品の幅や料金は店により異なる。ヤマダ電機は、テレビやエアコンなど対象は限られるが保証料は無料。ビックカメラでは一定の料金は必要だが、利用者の過失で壊れた場合や盗まれた場合でも新品に交換している。

ミドリ電化伊丹店はリフォーム客向けのショールームを併設（兵庫県伊丹市）

　地域密着型の細かいサービスは地元勢が充実している。上新電機は購入1年以内のパソコンがウイルスに感染した場合、無料駆除するサービスを提供。冷蔵庫や洗濯機などが1年以内に壊れた場合は、見舞金として5000円を支払っている。ミドリ電化では電球や蛍光灯の交換サービスが高齢者に多く利用されているという。上新電機とミドリ電化はいずれもグループ内に修理会社を持ち、休日でも冷蔵庫などの修理に対応している。

　購入額に応じて発行するポイントは、「その分値引きする」という方針のケーズホールディングスのように導入しない店もあるが、多くの店は顧客の囲い込み手段として積極的に活用。ヤマダ電機は来店するだけで10―4000ﾎﾟｲﾝﾄを発行している。

　ポイントを他社での買い物にも使えれば便利度が増す。ヤマダ電機のポイントは、全日本空輸のマイルや千趣会の通信販売「ベルメゾン」のポイントと交換できる。ビックカメラのポイントは、ＪＲ東日本の電子マネーＳｕｉｃａ（スイカ、ＪＲ西日本のＩＣＯＣＡとしても利用可能）に変換可能だ。ただ、スイカへの変換はＪＲ東日本の駅などにある機械でのみ可能なため、出張など出かける機会が多い人向けといえる。

　いずれのサービスも適用対象には一定の条件を付けている場合が多い。実際に利用する前には確認が重要だ。
（大阪経済部　小倉健太郎）