ODA、民間提案解禁へ 特定企業支援も可能 政府方針2008年04月12日15時00分 政府は、商社など日本の企業提案の案件に対する途上国援助(ODA)を解禁する方針を固めた。近く日本経団連との間で正式に合意する。特定企業への支援にあたるとしてこれまで控えてきたが、欧米ではすでに積極的に行われている手法で、日本のODA政策が大きく転換することになる。 官民連携の強化によって、途上国に日本の民間企業が進出しやすくなるうえ、財政難による削減から世界5位(07年)に転落したODA予算の効率的な配分にもつながる。半面、特定企業との癒着につながるおそれもあり、援助の透明性や公平性をどう確保するかが課題となる。 関係者によると経団連は、ODA予算が減るなかで、特に官民連携のための新たな枠組みとして(1)定期的な対話の枠組みを整備(2)現地での案件調査に進出を検討する民間企業も参加(3)民間企業の提案による案件作りの制度化――を提案。外務、財務、経済産業の各省との間で今週中にも会合を開き、この3点で合意する方針だ。 特定企業支援が可能になると、例えばニッケルやチタンなどレアメタルの埋蔵量が豊富なマダガスカルに円借款を供与して港湾を整備することで、すでに進出している日本の商社の輸送コストが大幅に下がることなどが見込まれる。産油国・アンゴラも同様で、多くの商社が注目している。 日本のODAには、特定企業支援を禁じるルールはないが「自主規制」してきた。こうした方針転換について、高村外相は7日、都内で開いた国際会議「アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)」で、「アフリカ経済が持続可能な発展を遂げるためには、産業の多様化や、民間投資をひきつけるためのインフラ整備といった取り組みが死活的に必要だ」と語り、官民連携でODAを積極的に行う考えを示した。政府は、日本が議長を務める5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD)や7月の北海道洞爺湖サミットなどを通じて、途上国側に日本の新たな援助形態をアピールする方針だ。 米国際開発局(USAID)や英国連邦開発公社、ドイツ投資開発会社など欧米の公的機関が途上国に進出する自国の民間企業向けの出資や融資を伸ばしているほか、中国も援助を急速に増やしている。特に資源が豊富なアフリカには国際的な注目が集まり、ODAが資源獲得競争の手段になっている面もある。(南島信也) PR情報この記事の関連情報政治
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