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[米国]
拡大するノートPC市場での「Vista苦戦」、マイクロソフトのアナリストは2年前に危惧
「厳しすぎるハードウェア要件がネックになる」
(2008年04月11日)
今年2月、「Windows Vista Capable」プログラムを巡る裁判の資料の中から、Vistaのハードウェア要件に関する問題を指摘した電子メールが見つかった。このメールは米国Microsoftのアナリストが2年前に同社幹部に送ったもので、同氏は低価格ノートPC市場の急成長という今日のトレンドを2年前に予測し、厳しすぎるハードウェア要件が同市場でのVista普及の障害になりうるとの見方を示している。
Microsoftは現在、Windows Vista出荷の数カ月前に実施したVista CapableプログラムがPC購入者に誤解を与えたとして訴えられている。この裁判は現在中断しており、Microsoft側は、集団訴訟として認めた判断を覆すよう求めて控訴中だ。
問題のメールは、この裁判を担当する米国連邦地裁のマーシャ・ペックマン(Marsha Pechman)判事が2月に公開した裁判資料の中から見つかった。メールの送り主は、Microsoftのハードウェア・グループに属するアナリスト、グレッグ・ドーアティ(Gregg Daugherty)氏。メールの日付は2006年2月28日で、あて先はWindowsマーケティング責任者マイク・シーバート(Mike Sievert)氏や、Windows製品管理担当ゼネラル・マネジャーのブラッド・ゴールドバーグ(Brad Goldberg)氏(肩書きはいずれも当時のもの)を含むメーリング・リストになっている。
Daugherty氏は同メールの中で、コンシューマー向けノートPC市場が急激に成長するとの見方を示している。「ノートPC市場の拡大には正直驚いている。とりわけ注目されるのは、1,000ドルを下回るノートPCがコンシューマー向けの50%を占めており、2005年12月に小売チャネルで販売されたコンピュータの26%を占めていたという事実だ」(Daugherty氏)
こうした見方を示したうえでDaugherty氏は、同市場でのVistaに関するマーケティング・チームの見解を求めた。さらに、「現行のWindows XP Home Editionがこれらの低価格モデルでも問題なく動作するのに比べ、Vistaは必要なハードウェア要件が厳しすぎるように思える」と疑問を投げかけた。
Daugherty氏は同日、別の電子メールで、「システムの条件については、私のほうにも少し誤解があったようだ。しかし、XPにはVistaのような制約が無いし、現在進行中の低価格ノートPC現象は未曾有の事態だと思う」と述べている。
Daugherty氏のメールに対する回答の大半は、同氏の懸念を打ち消す内容のものだったが、Windowsマーケティング責任者のSievert氏は、Vista稼働に求められるハードウェア条件はさらに高まると述べ、Daugherty氏の懸念に同意を示している。「確かに、メモリ要件に関しては心配だ。これは、VistaのHome PremiumとHome Basicの両方に当てはまる」(Sievert氏)
一方、Windows製品管理担当ゼネラル・マネジャーのGoldberg氏は、同じ28日付けのメールで、Vistaのハードウェア条件に関するDaugherty氏の見方にこう反論している。
「システムの要求条件が厳しいからといって、金の卵を産むガチョウが死んでしまうだろうか。そうは思わないし、そちらの支持を得られるような解決策があるかどうかもわからない。Vistaのシステム条件は固まっており、OEMもどのハードウェア製品をどれだけ生産するか決めているはずだ。われわれは、新しいハードウェアにも対応しようとしており、Vistaのロゴ計画ではUMPC(ウルトラモバイルPC)を除外している」
実際には、Daugherty氏が2年前に指摘したとおり、急成長中の低価格ノートPC市場でVistaは苦戦中だ。MicrosoftがXP Home EditionのOEM販売期限を2010年6月まで延期したことが、こうした状況を裏付けている(関連記事)。
Daugherty氏は、翌日の2006年3月1日付けの電子メールでも、低価格のポータブル・マシンと、それがVistaに与える影響についてさらに調査する必要性を強調している。「重要なのは、低価格ノートPCの爆発的な普及だ。これらのマシンが当社の製品ラインにどのような影響を与えるのかまだわからない。だが、詳しく調べてみるべきだろう」(同氏)
(Gregg Keizer/Computerworld米国版)
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