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桜の持つソフトパワーに注目 ジョセフ・ナイ教授
【ワシントン=有元隆志】米国の首都ワシントンのポトマック河畔の桜並木の開花にあわせ、市内では全米桜祭りが開催され、日本にちなんだ行事が行われている。
軍事力や経済力だけではなく、文化や価値観などソフトパワーの重要性を強調する米ハーバード大のジョセフ・ナイ教授は、「毎年、桜の花が咲くとワシントンの人たちは日本のソフトパワーを思いだす。桜は日本文化の魅力と、寛容さのシンボルともいえる」と評価する。
ポトマックのサクラは1909年、当時の東京市長、尾崎行雄が日米友好のため贈呈したのがきっかけ。最初の苗木が害虫のために処分された後、ソメイヨシノなど3000本が贈られた。
桜祭りは、日本文化の紹介のほか、日米交流の場ともなっている。ジャズに熱中する女子高生を描いた映画「スウィングガールズ」のモデルの1つとなった長野県立蓼科高校ジャズクラブは、地元ハワード大のジャズアンサンブルと共演した。外交関係者は「中国も梅や桃を広めようとしているが、定着した桜の持つパワーにはかなわない」と語る。
第2次世界大戦中、日系米国人収容キャンプに収容された経験を持つノーマン・ミネタ前運輸長官は、桜に囲まれた議事堂近くの全米日系米国人記念碑での行事に参加。「桜は日米友好の象徴であり、この強い結びつきは何が起きようと変わらない」と強調した。