国内の電力供給量のおよそ7%を占める電源開発株式会社の株の買い増しを巡り、外資系ファンドと日本政府の攻防が本格的に始まりました。
東京・霞ヶ関の財務省に姿を見せた、イギリス系投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント(TCI)」のアジア地区代表、ジョン・ホー氏。電力卸会社・電源開発の株を現在の10%弱から最大で20%まで買い増したい考えです。
Jパワーの名称で知られる電源開発は戦後の復興期に特殊会社として設立され、2003年に民営化、翌年に東証一部に上場されました。
オフィスや一般家庭に電気を供給しているのが東京電力などの電力会社ですが、その電力会社に電気の一部を供給しているのがJパワーです。
「TCIは電源開発の経営効率を上げようとしている。審議会のメンバーには、理解してもらえたと思う」(TCI ジョン・ホー氏)
ファンド側はあくまでも純粋な投資だと強調しますが、日本政府側は11日から始まった審議会での議論を通じ「国の安全に支障を及ぼす恐れがある」とし、最終的には株の買い増しの中止か変更を求める方向です。
「国の安全や公共の秩序にかかわることについては、世界共通ルール(規制)となっている」(甘利明 経産相)
しかし株式を上場している以上、外資だけを規制すれば「日本は閉鎖的だ」との批判が高まりかねません。
「今回の結論は、海外の日本市場に対する見方に影響する。審議会のメンバーは理解していると信じている」(TCI ジョン・ホー氏)
ガソリン税に日銀総裁人事、そして外資の規制問題と、福田内閣にとっては新たな難題となりそうです。(11日16:05)