平成22(2010)年に開催される平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターに対し、地元のデザイナーらでつくる市民グループが反発し、近く、独自キャラクターの公募に乗り出すことが11日、分かった。JR奈良駅前(奈良市)の商店街振興組合なども、新キャラクターへの“相乗り”をさっそく決定。異論を呼ぶオリジナルのマスコットに対し、ついに市民が「ノー」を突き付けた格好で、今後もこうした“包囲網”は広がりそうだ。
独自公募に乗り出すのは、奈良県内のデザイナーやライターら約20人でつくる「クリエイターズ会議・大和」。県などで組織する同祭の事業協会が、公募もせずにキャラクターを決めたことに強く反発しており、市民の手で公募することを決めたという。
田中功事務局長は「キャラクターはみんなのものなのに、協会の説明では、遷都1300年との結びつきも理解できない。奈良というだけで白毫(びゃくごう)やシカの角を付けたデザインにも違和感を覚える」と批判する。
協会はオリジナルキャラクターの愛称発表を15日に予定しているが、同グループは、同日にもホームページ(HP)を立ち上げ、ネットや郵送などで公募を始める方針。HPは英語版も予定しており、海外からの応募も歓迎する。
こうした計画に、地元ではさっそく歓迎する動きが広がっている。
JR奈良駅前の商店街振興組合・三条通ショッピングモール(組合員数約80人)は、9日に役員会を開き、新キャラクターが公募で決まれば採用し、加盟店舗などにポスターなども張る方針を確認した。
新堂順規理事長は「今のキャラクターでは子供が泣き出しかねず、ポスターを店先に張るわけにはいかない。もはや民間の手で独自に作り出すしかないのでは」と話す。
また、オリジナルキャラクターのポスターの境内掲示拒否を表明した地元寺院の親睦(しんぼく)団体「南都二六会」の橋本純信・十輪院住職も「仏様の冒涜(ぼうとく)にあたらないようなキャラクターであれば、歓迎したい」と賛意をみせる。
一方、事業協会は「デザインを変えるつもりはない」としており、15日に愛称を発表して、“強行突破”する構えだ。
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