深刻化する医師不足を受け、石井隆一知事が県内病院などでの勤務を呼び掛ける手紙が
、全国の県出身医大生に送付されることになった。県によると、「医師の確保で知事が手
紙を出すのは初めて」(医務課)となる。医大生と病院側の希望を基に研修先を決めるマ
ッチング率が低迷する中、県のトップが熱意を示すことで若手医師の定着を図る。
知事の手紙が送付されるのは、県出身医大生の二年生から五年生までの約二百五十人。
富山型後期研修医確保対策などの県の取り組みや、修学資金貸与制度の概要を紹介するパ
ンフレットなども併せて郵送する。
県は今年度から、県内病院の最新情報をメールマガジンなどで定期的に提供することに
しており、返信用の封筒を同封して情報提供希望者のメールアドレスなども把握する。
県によると、富山中部、富山、高岡、魚津、砺波の各高校からの医学部進学者は二〇〇
七年度が四十五人で、うち県内大学が十四人、県外大学が三十一人となっている。〇二年
度から六年間の総数二百八十九人では県内大学が七十一人、県外大学は二百十八人と、県
外への進学者が圧倒的に多いのが現状だ。
一方、今春卒業した医大生と病院双方の希望を基に研修先を決めるマッチングでは、県
内の充足率が42・7%、全国四十六位と、制度導入後の五年間で最低を記録した。
こうした状況を打開し、県内の医師確保を図るため、県は今年度、研修医総合確保対策
や修学資金貸与制度を拡充しており、知事の手紙送付を機に、県の取り組みを広く周知す
る。