一度訪ねてみたくなるような見学内容が並ぶ。国土交通省が作成した産業観光に取り組んでいる六十の工場を紹介した事例集だ。
地域の産業を観光資源として生かす産業観光の注目度が高まっている。事例集は、工場見学に負担を感じる企業のために、受け入れのノウハウや安全対策などをまとめた。先進事例として岡山県一件、広島、香川両県各二件が掲載されている。
岡山県では真庭市のグンゼメンズアンドキッズカンパニー久世工場が取り上げられた。メリヤス肌着の製造工程の見学が主だが、工場では「廃プラスチックの再利用など工場で取り組んでいる環境対策への関心も高い」と話す。見学者への誠意ある対応を掲げ、寄せられた意見は迅速に反映しているという。
県内には他にも水島コンビナートなど積極的な工場が目立つようになった。企業は親しみを感じてもらえ、イメージが高まり、地域は地元産業を見直す契機となる。外国人観光客を呼び込む可能性もある。
企業の意欲を観光の活性化に結び付けたい。複数の産業施設のネットワーク化や、他分野の観光資源と組み合わせ物語性をもたせた観光ルートづくりも考えられよう。
事例の工場には何度も訪れる見学者の例が載る。日本のものづくりのすごさが引き付けるのだろう。