トヨタ<7203.T>との提携でスポーティーな車を追求するメーカーに=森・富士重<7270.T>社長
[東京 11日 ロイター] 富士重工業(7270.T: 株価, ニュース, レポート)の森郁夫社長は11日、ロイターなどのインタビューに応じ、前日にトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)との提携強化を発表したことを受け、今後は選択と集中を進めてスポーティーな車を強化していく方針を明らかにした。また、足元の事業環境は厳しくなっているものの、中期計画で掲げる経営目標は変更しないと強調した。
森社長はトヨタとの提携の狙いについて「アライアンスを活用し、当社の強みを生かせる分野に資源を集中する」と述べた。その上で「トヨタはオールラウンドプレイヤー、(トヨタ子会社の)日野自動車(7205.T: 株価, ニュース, レポート)はトラックで、ダイハツ工業(7262.T: 株価, ニュース, レポート)は軽自動車。当社はスポーティーな車をいかに追求していくかが進むべき方向だと考えている。トヨタにはそういう車がなくなっているので、グループの中で当社がその位置を占めるのは可能だと思っている」と語った。
しかし、森社長はトヨタからの出資をさらに受け入れる可能性については否定。「われわれの全ての資源をトヨタにつぎ込んでいくつもりはない。当社のブランドを維持しながら、共同開発などを進めていきたいと思っているので、今回の出資比率は非常に心地よい」と述べた。
トヨタと富士重工は10日に提携関係を拡大すると発表。トヨタが富士重工への出資比率を8.7%から16.5%まで引き上げることで合意した。両社で小型スポーツカーの共同開発をするほか、富士重工はダイハツから軽自動車のOEM供給を受ける。富士重工は軽自動車の自社生産から順次撤退し、水平対向エンジンなど中核技術の強化に資源を振り向ける。
森社長は、2011年3月期に連結営業利益800億円(08年3月期予想は400億円)を目指すとした中期経営計画について「目標を変えるつもりはない」と表明。最重要市場と位置づける北米市場が縮小しているほか、為替が円高で推移するなど逆風が吹いているが、「当社は北米でまだ販売を伸ばせるし、ロシアや中国など新興国でも伸ばしていく」と語った。
特に09年3月期は、円高や資材高騰で自動車業界にとって厳しい1年になることが予想される。森社長は「確かに単純に計算すれば為替だけで300億円くらいの減益になるが、そうならないように頑張るしかない。台数は間違いなく伸びている。問題は生産能力が足りないことで、国内の生産能力を順次増強していく」と語った。従来2万8000台だった群馬県の矢島工場の生産能力を5月までに3万1000台、8月までに3万3000台まで引き上げるという。
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