ドキュメンタリー映画「靖国」をめぐって、映画の監督やジャーナリストらが政治的圧力や上映中止の動きに抗議する記者会見を開きました。
「どのような圧力があったか知らないが、(3月末に)全部の映画館が上映をやめた。非常にびっくりした」(映画「靖国」 リ・イン監督)
会見したのは「靖国」のリ・イン監督や映画「靖国」をめぐる動きに懸念を持つジャーナリストらです。
会見では、中心的な出演者の一人が出演シーンの削除を希望していると、一部報道で取り上げられた問題にも話が及びました。それは「靖国刀」を作る職人、刈谷直治さんが出演しているシーンです。
自民党の有村治子参議院議員の説明によりますと、先月、有村議員が刈谷さんに連絡を入れた際、刈谷さんから自らの映像が映画で使われることを承諾していないと伝えられたというのです。
これに対して、リ・イン監督は、刈谷さんとは映画の編集が終わった際や先月上旬にパンフレットを作る際など何度も話をし、出演を了承してもらったと述べた上で、次のように懸念を述べました。
「まさか刈谷さんから自分の部分を削除してくれと言われるとは信じられない。国会議員からどんな話があったのか、なぜ変心させたのか」(映画「靖国」 リ・イン監督)
一方、有村議員は、映画に介入したのではないかという批判について、「自らの論証を正確にしていくための調査の一環」とコメントしています。
映画「靖国」をめぐっては、内容が反日的だなどとして国会議員向けの試写会が公開前に開かれ、上映中止を決める映画館が相次ぐなど、議論を呼んでいます。
一方、10日午後、刈谷さん本人と家族が取材に応じ、「刀の技術についての取材と聞いて引き受けたが、靖国そのものがテーマとは知らなかった」と述べました。
「(刀の)技術のことだけだと、こんなものに使われるとは」(刈谷直治さん)
「自分の映像と声を消してもらったらいいと」(刈谷さんの妻)
刈谷さんと家族は、このように述べ、「映画の中の自分の映像を消してもらいたい」としています。(10日18:02)