2007-05-26
■[石井郁子(共産党)]
『第150回国会 青少年問題に関する特別委員会 第2号』(2002年11月09日)
○石井(郁)委員
日本の子供たちが、性や暴力シーンという、むき出しの、本当に悪質な描写にさらされている、そして無防備な状態にあるという点では、私もそうですが、多くの皆さんが胸を痛めておられるわけであります。
私ども日本共産党としましても、今、子供と教育をめぐる危機的な状況が進行していることの一つに、文化の問題、子供たちを有害な情報から守るという点で、文化の面での社会としての自主的なルールづくりというのが求められているんじゃないかというふうに考えてきたところであります。
きょう各省庁から御説明いただきまして、それぞれ省庁としても、そういう認識のもとにいろいろな姿勢を示され、また一定の取り組みをされているということを伺いましたが、同時に、今の事態というのは本当に憂慮すべき事態だということが強調されたように思うんですね。その点でも、私はきょう、この問題での対応というか取り組みというのが急がれるということを、認識を新たにいたしました。
それで、諸外国でも、この性や暴力の問題でいいますと、やはり暴力事件というのをきっかけにして、社会的な世論が起こる、行政も動く、いろいろな団体が動くという形の取り組みが始まっているんですよね。相当長期にわたってこの問題の取り組みがあるということなわけであります。
その一つの到達点として、私は、カナダの例が大変興味深いわけであります。
カナダでは、CRTC、カナダ・ラジオ・テレビ・電気通信委員会が、ここは通信・放送行政を担当する独立行政委員会なんですけれども、一九九六年にこういう文書を発表しているわけです。「カナダとテレビ暴力――協力と合意」、その文書では、テレビと暴力に関するアプローチで、放送業界の自主的なコード、まさに自主的な規制という問題でしょうけれども、それと番組評価システムというのが一〇%、Vチップが一〇%の効果で、残りの八〇%は市民の意識の覚せいとメディアリテラシーにあるということであります。それで、この報告書を作成した行政当局が、テレビと暴力の問題を解決する大部分の力というのは、上からの規制ではなくて市民の側にあるというふうに言っているんです。私は、こういうふうな結論を九六年に言えたというのは、八〇年代から始まって九〇年代を通して、各界挙げて議論を進めてきた中での一つの到達点だというふうに思うんです。
カナダの場合、放送業界、研究者、教育者、子供の精神科医、専門家、親、連邦政府、そういう関係者の対話と共同というのが本当にいろいろな形で進められてきたということが言われているわけであります。こういうことを参考にしながら、私たち日本でもいろいろなことをやっていきたいということをまず最初に申し上げておきます。
私は、そうした世論を喚起するという上で、まず調査研究というのが大変重要だというふうに考えるんですね。この点でも、もう既に午前中から審議もございましたし、いろいろ各委員が触れておられますけれども、改めて私も一つ二つ尋ねておきたいというふうに思います。
総務庁の、青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究報告書、平成十一年の九月ですが、これをいただいたときに、日本では初めてのものだと聞いて、私も改めて、やはり今始まったばかりかというふうに思ったのです。
これは、先ほど来いろいろ御紹介されていますけれども、テレビの格闘技というのがありますね、あるいはゲームの格闘技、それなどでは、やはり、ゲームセンターで毎日遊んでいる子供が非行とか問題行動に、より走っていくというか、そういう傾向が見られる、こうありますよね。それから、家庭でのテレビゲームでも、四時間以上見ているんですね。大体、四時間からデータをとらなきゃいけないというのも、やはり子供の世界にこういうことが相当入り込んでいるなというふうに私は思うんですけれども、そういう四時間見ている子供のうちの半分が非行、問題行動に走る、遊ばない子供というのは本当に低い数値だということが出ているわけですね。
こうした調査研究は一つの大変大事な点だと思うんですが、アメリカの例で申しますと、アメリカでは、もう一九五〇年代からこうした取り組みがあると言われているわけです。私ども、その紹介の文書を幾つか見ましたけれども、七二年にも一定の調査結果がある。八二年も、国立精神衛生研究所の、「テレビと行動――十年間の科学的進歩と八〇年代に向けての課題」という形で、十年間の追跡調査をされて、報告書がある。九〇年代に入ったら、さらにそれが深められるということです。
先ほど来、相関関係と因果関係ということが言われましたけれども、子供の攻撃的な行動、態度を招く重要な要因とか、あるいは心理状況にそれがどうかかわっているかというところまで入った研究というのは、やはりなかなか進んだものがあるなというふうに思うわけであります。
そこで伺いますけれども、総務庁としてもこういう調査を始められた、今後も進めていくだろうと思うんですが、今後の計画として、どういう内容、あるいはどういう体制でこういう問題に取りかかるのかということについて伺っておきたいと思います。
○石井(郁)委員
時間が参りまして、郵政省にちょっと一点お伺いしておきたいというふうに思います。
今、私は、むき出しの性や暴力シーンに子供たちをさらさないようにということで、そういう社会的な規律、自主的なルールというのをどうつくっていくかという立場で考えているのですが、そしてまたメディアリテラシーという、積極的にメディアにかかわっていく、それで、いいものを摂取していくという能力をつけなければいけないという点で申し上げたのです。
私は、やはり今、悪質なもの、悪いものを規制する、どうやって排除するかということもありますが、よい文化、良質な番組というものをどうつくっていくかという、同時に両方要ると思うのですね。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/150/0073/15011090073002a.html