「高齢者に負担を強いるだけではなく、受けられる医療に制限を加える」として、全国約70の医療機関と個人加盟の医療関係者約300人でつくる労働者住民医療機関連絡会議(労住医連)が、後期高齢者医療制度の廃止を求める「医師100人アピール運動」を展開している。4月中に賛同する医師を100人以上集め、記者会見などで同制度の問題点を広く訴えるとともに、政府に廃止を要請していく。
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同制度について、労住医連では「75歳以上の国民に加入を義務付けた上、保険料は年金から天引きするなど、高齢者の負担を重くする。一か月当たりの医療費の枠が決まっているものが多く、保険で受けられる医療が制限される」と指摘。「このような制度では、医師が高齢者の健康管理に真摯(しんし)に当たることを難しくしてしまう」などとして、運動に取り組むことにした。
呼び掛け人は、いずれも労住医連の幹事を務める、斎藤竜太氏(神奈川県大和市、十条通り医院院長)、松本文六氏(大分市、特定医療法人財団天心堂理事長)、天明佳臣氏(横浜市、神奈川県勤労者医療生活協同組合理事長)の3人。
運動に当たって、▽75歳以上という区分で高齢者を管理することは、保険制度面でも健康管理面でも、決して患者のためにならない▽同制度は高額の保険料、医療費の厳しい取り立てを強制するもので、容認できない▽患者の納得がいく医療にはならず、医療制度への不信を強め、医療制度、国民皆保険制度の崩壊を招く−と訴えている。
4月11日現在、全国から76人の医師が賛同を表明している。その際にメッセージを寄せてくる医師も多く、「この制度は、国民の健康維持に対する国の責任を放棄するもの」(鹿児島県の開業医)、「国は地域医療や救急医療を破壊している上、医療を平等に受ける高齢者の権利を奪おうとしている」(兵庫県の勤務医)、「疾病の可能性が高い年齢層だけを対象にして『保険』と称するのは、根本的に間違っている」(千葉県の内科医)、「年金の管理や運営で国民に大きな迷惑を掛けている政府が、年金から保険料を徴収すること自体が傲岸不遜(ごうがんふそん)」(東京都の勤務医)など、怒りの声が相次いでいる。
運動に賛同する場合、所定の賛同申込書を労住医連のホームページからダウンロードし、03(3636)2372へファクスするか、roujuiren@bi.wakwak.comへE-mailを送信する。問い合わせは労住医連03(3636)2371へ。
更新:2008/04/11 18:40 キャリアブレイン
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08/01/25配信
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。