唐津市周産期医療対策委員会(夏秋洋一委員長)のメンバーらは10日、産婦人科医不足で周産期医療の円滑な遂行が危ぶまれていた唐津赤十字病院に、6月から医師1人が増員されることになったと坂井俊之市長に報告した。
同病院の産科医は、久留米大学からの派遣が長く続いていた。しかし02年に3人体制から2人体制となり、06年には派遣が中止された。
その後、佐賀大学が派遣を引き継いで2人体制を維持してきたが、うち1人が今年3月で退職。同対策委が代替え医師の確保を知事や九大、佐大などに要望していた。
この日は夏秋委員長や志田原哲院長らが、「関係者の協力で同病院の産科医が1人増員となり現状復帰の2人体制になった」と坂井市長に報告。そのうえで「2人体制では不十分。3人体制に向けて協力をお願いしたい」と、さらなる人材確保を坂井市長に要望した。市長は「万全ではないでしょうが、2人体制になってほっとされましたか」などと問いかけていた。
手術現場では最低3人の医師が必要といい、志田原院長は6月までは地元医師や大学からの臨時医師派遣で対応することにしている。
同市では、正常分娩(ぶんべん)は地域の産婦人科が担っており問題はないが、切迫早産や帝王切開などの緊急症例が発生した場合、同病院が対応することになっている。
しかし医師2人体制だと、救急患者が重なった場合の対応が難しく、佐賀市などに搬送される例も多いという。
周産期は妊娠22週から生後7日未満までで、母子ともに体調が崩れるなどしやすいという。地域の医療体制を確立し、安心して里帰り分娩できる環境づくりが求められている。【田中操】
毎日新聞 2008年4月11日 地方版