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映画「靖国」:出演の刀匠「カットして」 政治的と批判--監督「了承得た」

 映画「靖国 YASUKUNI」の中心的な登場人物で高知市の刀匠、刈谷直治(かりやなおじ)さん(90)と妻貞猪(さだい)さん(83)が、出演場面のカットを求めていることが10日分かった。刈谷さんは自民党参院議員から問い合わせを受けていたことも判明。会見した李纓監督は問い合わせを「介入だ」と批判し、「刈谷さんの了承を得ている。カットすると作品が成り立たず、上映できなくなる」と説明している。

 刈谷さんは毎日新聞の取材に「映画は刀作りのドキュメンタリーと聞いていた。李纓監督はもう信用できない。出演場面をカットしてほしい」と話した。

 映画では、靖国神社に軍服姿で参拝する団体など、境内でのさまざまな出来事とともに、第二次世界大戦中、軍人に贈る「靖国刀」を作った刈谷さんへのインタビューなどが全編にわたって登場する。

 刈谷さんによると、05年10月ごろ、知人を介して出演依頼があった。数カ月後、李監督ら3人が訪れて2日間撮影。昨年春ごろ、刈谷さん宅で試写が行われた。貞猪さんが「政治的な内容でダメだ」と言うと、李監督は「近いうちに代わりのものを送る」と話したが、連絡はないという。刈谷さんは「今さら何を言っても仕方がない。もう静かにしてもらいたい」と話した。

 ◇自民参院議員の問い合わせ判明

 この問題を巡っては有村治子参院議員(自民)が自身のホームページで、「心外なお気持ちでいることを人づてに聞いていたので、伝聞では国会質問はできないと考え、刈谷さんご夫妻と直接初めて連絡をとった」と、3月25日に刈谷さんに連絡したことを明らかにしている。

 李監督は10日の会見で、「刈谷さんに作品を見てもらい、了承を得た。チラシに使うコメントとして、刈谷さんから“誠心誠意”という言葉もいただいた。一国会議員が直接出演者に連絡を入れて、結果的に出演部分を削除するよう求められることは残念だ」と述べた。

 刈谷さんは、有村議員からの電話について「問い合わせを受けただけで圧力を受けたとは思っていない」と話している。

 有村議員は日本マクドナルド勤務を経て、社会人大学院生として在学中の01年参院選の比例代表で初当選し、2期目。議員在職中に出産し話題を集めた。

毎日新聞 2008年4月11日 東京朝刊

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