和歌山県田辺市深谷(旧大塔村)で新しく建てた稲荷神社のほこらが、何者かによって壊されているのが11日までに見つかった。田辺署が器物損壊事件として捜査している。近く神体を移す予定だったことから、管理する地元住民らは「とても残念なことで許せない」と憤っている。 壊されたほこらは木製で高さ約1・1メートル、幅約1・2メートル、奥行き約1・8メートル。設置場所の土台から2メートルほど離れた場所に転がされていた。壁の板がはがされ、柱にも切り込みが入れられていた。 世話人代表の松本勝美さん(64)=田辺市小谷=が10日午前8時半ごろに見つけ、田辺署に被害届を出した。松本さんによると、9日夕方までに壊された様子はなかった。 稲荷神社は、不動明王像を本尊として祭り、住民から「不動明王」と呼ばれ親しまれている寺社境内にある。不動明王は眼病に御利益があると信じられ、県外からも参拝する人がいるという。 稲荷神社はこれまで、寄合所の神棚に祭られていたが、もっと参拝しやすいようにと、世話人会が中心になり、2月ごろから20メートルほど離れた場所に新しいほこらを設けて神体を移す準備をしてきた。基礎が完成した4月初旬にほこらを置き、5月6日に神体を移す神事を予定していた。 この場所では3年前にさい銭が盗まれたことがあったが、最近は特に問題もなかったという。 松本さんは「みんなそれぞれ忙しい中、時間を割いて新しいほこらを用意したのに被害に遭い、本当にがっかりしている」と話している。