●海東諸国紀 かいとうしょこくき
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海東諸国(日本全国・九州・壱岐・対馬・琉球国の総称)の国情および国交の沿革を記し,使人接待の規定を録した書。これは朝鮮国の申叔舟(1417〜75)が,時の国王成宗の命によって撰し1471年に完成した。全1巻。本書は,巻首に海東諸国総図,日本本国図,九州図,壱岐島図,対馬島図,琉球国図の6図をおさめ,本文は日本国紀,琉球国紀,朝聘応接紀にわけてある。間もなく巻末に,1473年(文明5)の畠山氏の使から礼曹に出した書契,翌年に礼曹佐郎南悌がつくった三浦(薺浦・富山浦・塩浦)の実測図が巻首に追録され,のちに1501年の琉球国事情の聞書が巻末に付録された。刊本は16世紀初年・17世紀初年両度の版が知られ,いずれも鋳字版(銅活字版,地図は木版)。本書は先規を考えるとき,つねに基本的な文献として,よりどころとなった。実に本書は室町時代の日朝関係史研究の根本史料である。〔参考文献〕朝鮮史編修会編『海東諸国紀』朝鮮史料叢刊第2
中村栄孝「海東諸国紀の撰修と印刷」史学雑誌39−8,9
中村栄孝「『海東諸国紀』の撰修と印刷」『日鮮関係史の研究』上,吉川弘文館