 在りし日の百瀬氏。人前ではいつも黒い帽子をかぶっていた |
格闘技イベント「PRIDE」のプロデューサーとして知られる作家の百瀬博教(ひろみち)さん(67)が東京都港区の自宅で意識を失い、病院に運ばれたが死亡していたことが28日、分かった。警視庁赤坂署は病気か事故とみて死因を調べている。
調べによると、百瀬さんの知人が27日午前2時40分ごろ、港区南青山の自宅マンションを訪れ、風呂の浴槽の中で意識を失っているのを見つけた。救急搬送されたが、同日午後3時半ごろに死亡が確認された。百瀬さんは肝臓に持病があり通院治療中だったという。
百瀬さんは東京都台東区出身。立教大在学中から赤坂の高級ナイトクラブの用心棒を勤め、腕力の強さでその名を広めた。
34歳のときの詩集「絹半纏」で、文芸評論家の山本健吉氏に認められ、詩人、作家としての地位を確立。「不良ノート」「空飛ぶ不良」「プライドの怪人」など著書は多い。立大では相撲部に所属し、映画監督の周防正行氏が1992年に「シコふんじゃった。」として映画化した。
アントニオ猪木氏と親交が深く、同氏がプロデュースする格闘イベントにかかわり、「PRIDE」のプロデューサーとして知られるなど、格闘技の発展に尽力してきた。
また、石原裕次郎氏からは私設ボディーガードを依頼される仲で、お互いを「兄貴」「ヒロ坊」と呼び合っていたという。
裕次郎氏との交友を回顧した「裕次郎時代」「俺の裕次郎−60年代が眩しいぜ」なども出版している。
最近では東京MXテレビの番組「新・東京百景」で、人気ダンスグループEXILEのHIROと共演していた。
■月刊『WiLL』編集長、花田紀凱氏の話
「先週の木曜日(24日)にイベントの打ち合わせをしたときは、喜んではりきっていたので、突然の訃(ふ)報(ほう)に驚いている。約20年前の文春時代に連載をお願いして以来のお付き合いで、ご自身が“戦後最大の不良”と言っていたように、人たらしで、人間を引きつける魅力にあふれた方だった。秋田刑務所で服役中に膨大な本を読んで勉強され、きりっとした文章を書かれた。柳橋の侠客だった父の血を引き継いで、面倒見のいい親分肌で若い人にも好かれ、女性にもモテていた」
■出版プロデューサー、高須基仁氏の話
「公私ともにお世話になり、アントニオ猪木氏をはじめ格闘技界、芸能界の人を紹介していただいた。思い出は尽きないが、私の夕刊フジの連載コラム『人たらしの極意』のタイトルも、百瀬さんにアドバイスいただいたもの。こわもてに見えても心優しい人だった」
ZAKZAK 2008/01/28