松本市の信州大付属病院で眼科を受診した同市の男性(当時52歳)が脳梗塞(こうそく)で死亡したのは担当医が予兆を見逃したためとして、男性の妻ら遺族3人が大学と担当医に、約8400万円の賠償を求めた訴訟は10日、東京高裁(大谷禎男裁判長)で和解が成立した。
和解条項によると、大学側が和解金100万円を支払うと共に「より質の高い医療を目指し医療環境の向上や知識、技能の研さんを図り、期待される医療の提供に努める」と表明した。
男性は02年5月1日に死亡したが、8日前に眼科を受診。遺族側は「担当医は視野障害などから予兆を疑い、緊急検査を受けさせるべきだった」と訴えたが、1審の地裁松本支部は07年10月、請求を棄却していた。遺族側代理人は「医療を向上させる趣旨が条項に入ったので和解に応じた」と話している。
毎日新聞 2008年4月11日 地方版