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レポート

チャットモンチー

チャットモンチーすごい2日間 in 日本武道館 - 2008.04.01(TUE) at日本武道館

(撮影/上飯坂一)


たくさんの愛と笑顔と拍手に支えられた、日本武道館ピアノ弾き語りライヴ

 満開の桜が咲き誇る中、2日間に渡って行われたチャットモンチー初の武道館公演、その名も【すごい2日間 in日本武道館】。昨年11月より年をまたいで行われた全国ツアー【生命力みなぎりTOUR】を経て遂に迎えた念願の武道館の地で、彼女達はどんなライヴを花開かせたのか。以下、その2日目となった4月1日公演の模様をレポートする。

 場内の照明が落ちると同時に、何の前触れもなくアリーナ後方(!)に突如現れたチャットモンチーの3人。そのままアリーナ中央まで練り歩き、そこに設置された細長い“お立ち台”の上で、無言のまま3人揃ってキメ・ポーズ。ささやかにして大胆な彼女達による開幕の宣言だ。そして、再びステージに向かって歩み出し、上がった先から打ち鳴らした1曲目は、彼女達の記念すべきメジャーデビュー作『chatmonchy has come』の冒頭を飾っていた「ハナノユメ」。大型ヴィジョンに映し出される表情こそ時折笑みが混じるものの、その演奏はあくまでもソリッド&タイト。とても3人だけで鳴らしているとは思えない迫力のサウンドが多角形の会場に響き渡る。「ツマサキ」、「DEMO、恋はサーカス」、「惚たる蛍」――「こんばんは、チャットモンチーです」という短いMCを挟んで、1stシングル「恋の煙」と続いた辺りで、ようやく今日のセットがチャットモンチーの歴史を辿るように構成されていることに気付いた。そう、この武道館ライヴは、大いなる“祭り”である以上に、彼女達が長い時間を掛けて踏み固めて来た音楽を、観客と共に一つ一つじっくりと再確認していく“場所”なのだ。

 その後、もはや恒例となった(?)、「手のなるほうへ」のイントロ・コーラス大会によって、ステージと観客の距離が一気に縮まる中、いよいよ最新アルバム『生命力』の楽曲がスタート。「Make Up! Make Up!」、「とび魚のバタフライ」、「女子たちに明日はない」――彼女達のポップサイドが全開となったこれらの楽曲が演奏されるに連れ、会場の雰囲気が次第に柔らかなものへと変化して行くのを感じた。それは、デビュー当初、胸の奥底に凛とした刹那を宿していたチャットモンチーが、多くの人々の前に立つことによって、よりポップなものへと開けて行った過程をリアルに追体験するようだった。その柔らかな幸福感は、これまでに無いビート感を持った新曲「風吹けば恋」に続いて披露された「シャングリラ」で、一つのピークを迎える。上方からスルスルと舞い降りて来た3つのミラーボールが点す無数の光の中、思い思いに身体を揺らす観客達。「真夜中遊園地」、「親知らず」――そして最後は、彼女達の“開けゆく未来”を象徴するような最新シングル「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」で、ひとまず本編は終了。

 続くアンコール。「私達の曲を喜ばせてくれてありがとう」という福岡の言葉が印象に残った。あるときは蝶のようにヒラヒラと大空へと舞い上がり、あるときは蜂のようにハートをチクリと刺す、“チャットモンチー”という名の音楽。それは、メンバーである3人はもとより、この武道館という場所に集まった多くの人々の“思い”を存分に吸い込みながら、花のような“笑顔”を咲かせていた。この日、最後の曲となった「東京ハチミツオーケストラ」に乗せて、上空から一斉に舞い落ちて来た色とりどりの風船を眺めながら、そんなこと思った。デビューから2年強、否、“チャットモンチー”が生まれてから8年という年月の集大成であり、ここからまた新しい1ページがめくられたような正しく“年度末の最後の日/新年度の最初の日”という2日間に相応しい、文字通り彼女達にとって“節目”となる充実感溢れるライヴだった。

(取材・文/麦倉正樹)

関連リンク

新譜情報

Single
『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』

発売日:2008/02/27
KSCL-1150
価格:1,223(税込)


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セットリスト

1. ハナノユメ

2. ツマサキ

3. DEMO、恋はサーカス

4. 惚たる蛍

5. 恋の煙

6. 湯気

7. どなる、でんわ、どしゃぶり

8. 恋愛スピリッツ

9. 終わりなきBGM

10. ひとりだけ

11. 手のなるほうへ

12. Make Up! Make Up!

13. とび魚のバタフライ

14. 女子たちに明日はない

15. 橙

16. 風吹けば恋(新曲)

17. シャングリラ

18. 真夜中遊園地

19. 親知らず

20. ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

<アンコール>

1. 東京ハチミツオーケストラ