お知らせ

千葉県市原市イリジウム−192所在不明事件について

2008年4月9日
独立行政法人 放射線医学総合研究所
緊急被ばく医療研究センター


注意すべき点
◆線源容器(図1)を見つけたら絶対に開けない。
◆線源が露出した状態(金属の棒状、図2)で見つけたら、絶対に直接手で触ら ず、できるだけ距離をとります
◆直接手で触ると、1週間から10日後くらいしてからその部分の放射線による 熱傷が出てきます。
◆図はhttp://www.anzenkakuho.mext.go.jp/news/trouble/20080407_01a.pdf からもダウンロードできます。


問い合わせ先:
独立行政法人 放射線医学総合研究所
広報課 043-206-3026


医療機関及び防災関係者専用電話 (24時間対応)は「放医研緊急被ばく医療ダイヤル 」をご覧下さい。

緊急被ばく医療研究センター

図1 線源容器
(容器寸法:長さ約40 cmx直径約27 cm、重量:約22 kg)



緊急被ばく医療研究センター

図2 棒状の先端が線源部分
(長さ約17cm、直径約0.7cm)

【放射線の線源】

今回問題となった放射線の線源は、イリジウムで身体の中に深く透過するγ線と、皮膚だけで止まるβ線を出します。線源が身体から離れている場合は、γ線による全身におきる被ばくをします。さらに、線源に直接触れたような場合には、γ線とβ線による皮膚の被ばくが大きな問題となります。

【被ばく線量】

放射線を出す能力は、370 GBq(ギガベクレル)で、74日で半分になります。 ここから出てくる放射線による被ばく線量を計算すると次のようになります。

容器の中にある場合: 1 m離れたところで7 μSv(マイクロシ−ベルト)/時間
これは1 m離れたところに1時間いると、7マイクロシーベルトの被ばくになります。

線源が取り出された場合

  被ばく時間
10分 1時間 1日 1週間 1ヶ月
距離10cm 0.722 4.33 104 727 3120
距離1 m 0.00722 0.0433 1.04 7.27 31.2
距離10 m 7.22 x 10-5 4.33 x 10-4 0.0104 0.0727 0.312
(単位:Sv シーベルト)

1 m離れたところに1日居続けると1.04 シーベルトの被ばくになります。

線量と起こりうる症状
短時間に全身の線量が1シーベルト程度の被ばくを受けると、敏感な方では気分が悪くなったり吐いたりする方がでることがあります。つまり今回の場合では、取り出された線源から1mの距離で1日程度居続けた場合と同じ線量ですが、1日で1シーベルトですから、吐き気等の症状がでることは無いと思われます。しかしながら、10 cmのところに1時間居た場合は、吐き気などが出るかも知れません。

【参考】

我々は生活しているだけで自然界から放射線被ばくをしています。この線量は1年間で2.4ミリシーベルトくらいです。また胃の透視での被ばく線量が3ミリシーベルトくらいであり、お腹のCT撮影で10から12ミリシーベルトくらいです。従って取り出された線源が10 mのところに1日あった場合が0.0104シーベルト(10.4ミリシーベルト)ですから、お腹のCT撮影と同じくらいです。


以上
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