日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。 |
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この情報の最も新しい更新日は4月11日(金)です。 |
チベット暴動1か月 中国 締め付け強化 ダライ・ラマの写真捜索 僧侶に反独立署名 強要 (読売 4月11日 朝刊) |
[概要]3月14日に中国チベット自治区ラサで大規模暴動が発生、四川省など3省に波及して間もなく1か月。地元政府による「治安回復宣言」の裏で、「力」と「思想」による締め付けが強化されていた。 デモが起きた甘粛省では依然、増派された軍、警察の駐留が続き、主なホテルは兵士などで貸し切りで満員だった。米国人旅行者が街を歩いても、警察からパスポートの提示を求められ、コピーまでされる有様だ。 地元のチベット仏教寺院・ラプラン寺では8日から、祖国統一を訴える愛国主義教育の特別講義が全僧を対象に始まった。「ダライ・ラマ14世は独立を企てる悪人、という文書に署名を強制された。こんなものは意味がない。彼は我々の心の中にいる」(同省出身の僧 36才)と憤る。同僧の案内でカギがかかった仏殿に入ると、中国政府が所持を禁止されたダライ・ラマ14世の写真が掲げられていた。別の20代の僧は、「ダライ・ラマと事件を結びつける共産党の宣伝に怒りが収まらない」という。四川省では、「デモ参加は自己の信念」と言い残し、首をかき切って自殺した僧もいるという。 四川省では騒乱が起きた後、チベット族の家に警官がいきなり来て、ダライ・ラマの写真を捜索するようになった。路上でも所持品検査が行われ、ペンダントなどに写真を入れて持ち歩くこともできなくなったという。 チベット自治区に通じる道では、10日夕、燃料補給車や大型の軍用トッラクなど軍用車両60台以上が確認された。長い車列は、軍の駐留が長期間する兆しだ。 だが、ダライ・ラマをデモの「扇動者」と決めつけて対話を拒み、強硬姿勢をとり続ける中国政府のチベット統治が、新たな反発を生む悪循環につながっているようだ。 [コメント]この記事で驚いたのは、現地に派遣された中国軍がホテルを貸し切って駐留しているとことである。武装警官隊であれば完全な自己完結性を求めることはできないが、軍隊であればホテルを宿泊施設に使うことは常識外である。なぜなら、ホテルに宿泊しているなら、一階の出入り口にガソリンをかけて火を着け、外に出られないようにして窓から火炎瓶を投げ込めば、容易にホテルの火災で宿泊部隊を壊滅できるからである。もし中国軍が外征軍として訓練を受けたり、兵士に敵地で作戦中という意識があれば、ゲリラの攻撃から守りにくいホテルで宿泊することはない。 この一例のように、中国軍は米軍のような外征軍として位置づけていないと思う。しかし中国人民解放軍は中国以外の場所で戦ったことがある。朝鮮戦争、中露国境紛争、中越戦争である。ところが人民解放軍の戦術は人海戦術だけで、兵員に大量の犠牲を出しながら、これといった戦果をあげていない。 人民解放軍という歴史的な経緯から、中国軍は外征軍として成長できないと思うようになった。アメリカ軍と同列の比較は無理で、そのことは意味がない。ならば中国軍の主たる任務は何か。それは”万里の長城”に象徴されるように、無形の城壁を自国周辺に中国軍で築くことである。それを城壁とは呼ばず、自国の防衛線と呼んでいるだけだ。中国は歴史的に異境人の侵入に苦しんだ経緯がある。だから防衛線の”万里の長城”の一部が崩されたときの危機感は、我々が想像する以上のものがあるようだ。まさに中国がチベットで行った過剰すぎる弾圧は、この危機感の表れではないだろうか。 中国が周辺国で覇権を拡大する方法は、軍事力ではなく、いつもいう併呑政策である。暴動の起きたラサ市では、06年の青蔵鉄道の開通で上海企業などの投資増で、人口35万人のうち、漢民族が20万人を超えたという。ホテルや観光業が一気に拡大したからだ。これが中国伝統の併呑政策である。02年にチベットの漢民族人口は6パーセントという統計がある。それが数年で人口の半分(過半数)を超える移民を行うのである。 そして併呑した地域には軍隊や武装警官隊が移駐して、中国の城壁を築いて自国・防衛線を引くのである。このような中国軍の実態を見ないで、単に戦車や軍艦や航空機の数の比較で、中国の軍事力を分析しても何も見えてこない。中国軍がホテルに宿泊しているということは、そこまで分析できる異常な現象なのである。 |
岩国、基地増強と並行して浮上 米軍住宅建設 火種に 「経済を圧迫」住民反発 (朝日 4月10日 朝刊) |
[概要]山口県岩国市で、米軍岩国基地の沖合展開のため愛宕山を削った跡地(平地60ヘクタール)を、大規模な宅地にする計画が破たん。その処理として平地45ヘクタールを国に売却することがほぼ決まった。防衛省は「米軍家族住宅の有力候補地」としてしている。経済の不振と続く基地増強。背景には基地が民間企業を押しのけ、地元経済発展の足かせとなってきた歴史がある。 岩国基地の沖合展開は08年度に完了する予定で、それを待って厚木基地(神奈川県)から空母艦載機58機が移転してくる。その日程と重なるように米軍住宅建設が浮上した。当初、愛宕山跡地は山口県と岩国市が住宅団地を建設する予定だった。しかし需要が見込めず頓挫、借金251億円が残った。その処理として国に売却することが決まった。この動きに愛宕山周辺の自治会の多くは反発し、近くに住む田村順玄市議は「国は住宅団地計画の頓挫を見越していたのではないか」と話す。 岩国基地の沖合移転は元々、墜落事故の危険回避と騒音軽減が目的だった。貴船悦光・元市長によれば、埋め立て分の陸地部分が市に返還されるはずだった。しかし最終的には現在の574ヘクタールに、埋め立て地が213ヘクタールが加わるのに、地元に返還部分されるのは5ヘクタールのみ。「新しい施設が増える」(防衛省幹部)との理由だ。新しい施設は戦艦(神浦・・・空母)が寄港できる水深13メートルの大岸壁が建設される。新たな基地埋め立ててで、古い基地が返還されるという地元の悲願が逆手に取られたという声がある。 基地交付金で地元が潤うという考えは、実際の集計では、岩国市の04年度の一般会計決算額と固定資産税額は、81年度と比較してほぼ2倍に増えている。しかし基地関係の土地からは固定資産税は入らず、基地交付金の額もほとんど増えていない。(田村市議の集計)。「米軍基地は市経済の発展に貢献していない」(田村市議)と指摘する。 空母艦載機の移転問題では、市は反対・容認の真っ二つに割れ、反対派の井原・前市長は選挙で敗れた。直後、防衛省は市庁舎建設補助金35億円の凍結を解除し、米軍再編交付金4億円の交付も決めた。選挙結果は艦載機の移転容認、補助金・交付金のメリットとなった。 空母艦載機の移転容認派で市長選挙に転出した福田良彦・現市長の、衆院山口2区補選が15日に告示され、再び山口で「基地と経済」が選挙で問われることになる。 [コメント]岩国基地周辺ではベトナム戦争の末期、リフレッシュ休暇でベトナムから来た米兵たちとよく遊んだ街である。広島市の繁華街にあったジャズ喫茶などで米兵と知り合い、友人のトヨタの空冷500CCエンジンを積んだ中古のパブリカで何度も岩国基地に送っていった思い出がある。 その頃、岩国基地の滑走路・延長線にある帝人工場の赤白(色)の煙突が異常に低く、それは基地に離発着する米軍機のために短くしたという話しを聞いたのを覚えている。だから岩国基地の沖合を埋めて、航空機が市街地や工場地帯の上空通過を避けるという話しに納得した。おそらく岩国市民もそのように信じたはずである。その埋め立て用の土砂を採った愛宕山の大規模住宅開発は、岩国市の基地共存も悪くはないと信じたはずである。さらに岩国基地を民間共有空港にする話しもあった。 しかし今は、すべてが御破算(ごはさん)になって、厚木から空母艦載機が移駐し、古い基地は返還されずに強化され、愛宕山の跡地には米軍住宅が建つという。すでに岩国基地は普天間基地から米海兵隊・航空隊の空中給油部隊を受け入れているので、岩国基地は本土で最大の米軍基地に拡大することになる。 そして岩国基地の周辺には、アジア最大の米軍弾薬庫である山田弾薬庫(広島県)と山陽自動車道で結ばれ、さらには佐世保米軍基地とも隣接した位置関係にある。これらはすべて朝鮮半島を睨んだ布陣で、朝鮮有事に備えて築かれた米軍の軍事施設である。山田弾薬庫は瀬戸内海に面した米軍・広弾薬庫と結ばれ、緊急時に弾薬の洋上備蓄を行ない、朝鮮半島方面への緊急移送ができるシステムができている。また米軍・秋月弾薬庫(広島・江田島)は精密誘導爆弾などの組み立てと最終調整を行い、短時間で岩国基地に運び込む後方支援能力を持っている。 軍事的には、ここに米軍の巨大な朝鮮半島シフトが構築・強化されているという指摘ができるのである。 岩国基地に米空母が接岸可能な桟橋の建設だが、これは横須賀基地(神奈川県)が海上交通の激しい浦賀水道に面していることや、羽田空港に近いことから、石油タンカーや旅客機の自爆テロに弱く、その避難先として岩国が活用されることを示している。しかし横須賀基地の政治性(東京に近く、首都圏にある)やハワイにはない高度な艦船修理施設のため、原子力空母が横須賀基地と縁を切ることはできない。そこで朝鮮半島有事では、本籍が横須賀で、現住所が岩国という使われ方をすると推測できる。 そのようなことを考えながら、基地容認派も反対派も、これからの岩国基地の問題を考えるようにお勧めする。また近い将来、朝鮮半島が統一され軍事危機の脅威が下がっても、米軍はいつでも使えるように岩国基地を手放すことはない。 |
駐留米軍 イラク駐留規模維持 大幅削減は適切でない (産経 4月9日 朝刊) |
[概要]イラク駐留多国籍軍のペトレイアス司令官は8日、7カ月ぶりに米上院軍事委員会の公聴会で、イラク情勢について報告した。注目の米軍兵力の削減については、治安回復のために昨年増派された陸軍5個旅団などを7月末までに撤退させる一方で、その後の兵力削減は45日間の評価期間に治安情勢の推移を見極め、改めて判断する方針を示した。これにより、ブッシュ政権が続く来年1月まで、約14万人の米軍駐留兵力が基本的に維持されることになった。 ペトレイアス司令官は米軍増派やイラク治安部隊の能力向上で、治安回復の効果を上げたが、国際テロ組織アルカイダ系武装組織や宗派勢力の活動を懸念して大幅な兵力削減が適切でないと見通しを示した。 [コメント]昨日の公聴会でわかったことは、次の米大統領がホワイトハウスに入るまで、ブッシュ政権はイラク駐留米軍を情勢が混乱するのを避けるため、現状を維持するということである。口の悪い言い方をすれば、ブッシュ大統領は何もしないで次の政権にイラク問題を丸投げしたということになる。 ブッシュ政権は昨年春からの陸軍5個旅団の増派で、イラク駐留米兵は最高16万8000人に達していた。(朝日新聞 4月9日 朝刊) それを元の14万人規模まで減らして、アルカイダや宗派間の動きを見るという考えである。なんら積極的な動きでないことは容易に理解出る。 またイラクから撤退する米陸軍5個旅団は精鋭の”ストライカー戦闘旅団”で、大型輸送機などの多用で、地球規模の緊急展開を重視して編制された部隊である。この部隊はイラクから容易に撤退できるが、同時に再派遣も容易な機動部隊なのである。 03年3月にイラク戦争が始まって9ヶ月が過ぎた頃、まったく好転しないイラク情勢に、「やがて米軍は切り札のストライカー戦闘旅団をイラクに投入する。それでイラク情勢が劇的に好転する」と話した国際政治専門家(テレビ番組で対談)を覚えている。そのストライカー旅団を投じても、イラクで暗躍するテロリストやゲリラを壊滅させることはできなかった。 とにかくブッシュ政権のイラク戦争では単純な誤算が多すぎる。独裁者フセインを権力の座から引きずりおろしても、イラク国民は米軍を白馬に乗った解放軍とは見てくれなかった。期待したイスラム圏の国からイラク駐留の多国籍軍に加わる国はいなかった。これではイスラム教対異教徒という構造になってしまった。旧イラク軍の武装解除が不完全だったために、155ミリ砲弾などを差し押さえることが出来ず、改造して威力のあるIED(路肩仕掛け爆弾)を大量に製造させ、米軍や市民に大きな損害と犠牲を被ってしまった。などなど。 アメリカの次期大統領は、ほぼオバマ候補に決まったという私の認識は変わっていない。あとはオバマ候補の現実的かつ積極的な対応に期待したい。 |
コラム 記者の目 「イラク状況好転」 まやかしだ 米兵の危機、 低下しただけ 「大爆発前の小康」の感 小倉 孝保 記者 (ニューヨーク支局) (毎日 4月8日 朝刊) |
[概要]3年半振りにイラクを取材した。今年3月、ブッシュ大統領はイラク戦争開戦から5年目にあわせて「現地の状況は好転した」と演説した。それをバクダッドのホテルで聞いて、現実離れの誤魔化した言葉の羅列と思った。ホテルのあるグリーンゾーン(米軍管理地区)周辺では、連日、迫撃砲弾や爆弾の音が響いた。明るい兆しはない。それが現地の実感だった。 バグダッド空港に到着すると、契約していた元英軍に勤務した英国系警備会社の男性が待っていた。重い防弾チョッキを手渡しながら、ホテルまでの状況を説明してくれる。「ひところよりやや迫撃砲などによる攻撃は減っている。しかし一部の地区ではアルカイダや系の民兵組織など、外国人を狙ったテロ、誘拐を狙う組織は今も多い」。 あらかじめイラク入りをする前に、取材したい事柄を挙げていた。▽フセイン大統領の故郷ティクリート ▽反米闘争の拠点だったファルージャ ▽シーア派の聖地カルバラやナジャフ 、などを訪問して住民の感情を探りたい。しかし米政府が言う「イラクの治安は改善傾向で、取材は可能」という説明は間違っていた。イラク人の助手は、「あなたが挙げた中で、外国人が取材できるものはほとんどない」という。結局、取材できたのはグリーンゾーン外でのバグダッド・ルポとイラク警察の同行取材だけだった。現状は米政府の説明とかけ離れていた。 取材してみると、マフディ軍の暴走はひどかった。「ガソリンスタンドの売り上げの20パーセントを脅し取る」「道路清掃などの公共事業の上前をはねる」「裕福な家庭の子どもを拉致して身代金を取る」。それらを米軍が知らないはずがない。それでも「イラク状況は好転」と言えるのか。 治安以外の問題も大きくなっていた。宗派間の憎悪は今後長きにわたり解消されないだろう。国造りを支えるテクノクラートは大量に国外に脱出した。政府職員の汚職体質は旧政権時代より何倍も汚い。問題の根本的な解決は何もされず、むしろ大爆発前の小康状態といった感さえ受けた。
[コメント]昨年の秋頃から、ブッシュ大統領が決断した米軍の増派によって、イラクの治安が劇的に改善され、米兵の犠牲者も激減してきたという報道が多かった。しかし私は疑っている。イラクで戦闘が少なくなったのは、米国内でイラク戦争が国民の支持を失い、大統領選挙よる政権交代で駐留米軍のイラク撤退が事実上見えてきたからと思っていた。 そのためマフディ軍などのは兵力の消耗を避け、資金や武器を補充し、来るべきイラク政権の主導権争いに備えている「補強」作戦と見ていた。この記事がいう大爆発とは、米軍がイラクから撤退(あるいは規模縮小)して始まるイラク政権の主導権争いである。そのためには、今は闘争資金をかき集め、兵力を温存(あるいは拡張)させて、十分な武器・弾薬を蓄積させる時期なのだ。 イラクのマリキ首相はそのことを強く警戒し、恐れているのである。そのことに駐留米軍が気がついても、へたにマファディ軍に手を出せば、次は米兵犠牲者の増加という数字で現れてくる。だからイラクの米軍は来るべき大爆発に備えて動きが取れないのである。 もう戦略(作戦)の失敗は兵士たちの努力(戦術)では補えないのだ。しかし何もせずにただ大爆発が起こるのを待つことも愚かである。その大爆発が中東戦争という新たな大規模戦争の導火線になる可能性もある。そのために日本は、国際社会は、何が出来るのか。何をするべきなのか。それが見えてこない。 |
@北朝鮮「軍事対応」を宣言 対韓国 武力衝突の危険も (毎日 4月4日 朝刊)
南北対話 A北朝鮮が「全面中止」 軍事境界線も遮断方針 (朝日 4月4日 朝刊)
北朝鮮 B「韓国と対話中断」 謝罪要求拒否に報復 C平壌、食糧配給を中断 韓国NGO 餓死者発生の恐れ (産経 4月4日 朝刊)
北朝鮮軍 D「南北対話を全面中止」 (読売 4月4日 朝刊)
(○番号は神浦が加筆) |
[概要]今日の全国紙・朝刊4紙で、北朝鮮関連記事の見出しを並べるとこうなる。何やら朝鮮半島情勢が怪しげな雰囲気になってきた。というのは北朝鮮が対韓国との緊張を高める”瀬戸際外交”に舵を切ったからだ。ーーー北朝鮮当局は、開城(ケサン)工業団地から韓国政府関係者の追放、黄海での短距離ミサイル発射、北朝鮮の労働党機関誌「労働新聞」で李明博大統領への名指し非難を開始した。李明博大統領が「北朝鮮が核放棄と経済解放を行えば、国際社会と協力して韓国も大規模経済協力を行う」とした”対北朝鮮政策”を揺すぶるためである。また李大統領を名指し非難したことで、李政権内で南北対立の危機感をあおり、李大統領を支えるハンナラ党が優位な状況での韓国総選挙で、野党を後押ししたい思惑もある。(読売 4月3日 朝刊)ーーーそのためなら、多少の軍事衝突も辞さないという強い意志を”軍事衝突”という手段で行う可能性が高まっている。 そこで今日の各朝刊のポイントを、重複を避けながら概要を説明すると、 @ 北朝鮮の海軍司令部は3日、韓国軍鑑3隻が同日正午前に、北朝鮮の黄海南道南方海域で領海侵犯し「重大な軍事的挑発行為」を行ったと発表。同様の事態が続けば「予想外の対応措置が伴う」と警告した。韓国軍は領海侵犯を否定。米韓が海上の軍事境界線とみなす北方限界線(NLL)の南側で通常の警備任務を果たしたと説明した。しかし北朝鮮はNLLを正式な境界線と認めていない。3日の警告で、北朝鮮がNLLの南側にいる韓国軍艦艇に武力衝突を仕掛ける可能性が高まった。 A 韓国軍の金泰栄・合同参謀本部議長が国会の人事公聴会で、「北韓(北朝鮮)に核攻撃の兆しが見れば核基地を先制攻撃する」と答弁したことで、北朝鮮は3日、この件で韓国政府の謝罪を求め、南北対話を全面中止し、韓国側当事者が軍事境界線を通過することを全面遮断することを明らかにした。
B 北朝鮮は3月末から連日、韓国批判を続け、1日には李大統領を初めて名指しで「逆徒」と呼ぶなど、言葉のトーンを強めた。この時期に緊張を高めるのは、4月末に予定されている米韓首脳会談への牽制の意味が大きいと観測されている。 C 韓国の非政府組織(NGO)で、北朝鮮の人権ウオッチ団体の「良き友人」は3日、ニュースレターで「平壌の食糧事情が極めて悪化しており、4月からの6ヶ月間、平壌のすべての区域で食糧配給が中断される」と明らかにした。「1990年代後半に起こった”苦難の行軍”時代にもこれほど長期間、配給が中断しなかった」と話す北朝鮮・幹部の話も伝え、5月以降に大量の餓死者が出る可能性があると指摘している。平壌をはじめ主要都市では、今月中にも餓死者がでるという噂がひろがり、住民を不安に陥れている。北朝鮮では今がちょうど共同農場で苗付け準備を行う時期だが、苗や肥料、ビニールシートなどの農資材入手が困難だという。 一方、中国政府は北朝鮮からの越境者を取り締まるために、3月から中朝国境の取り締まりを、突然、厳しく強化した。 D 韓国の聯合ニュースによれば、韓国の李大統領は3日、北朝鮮の動きに初めて言及し、「過去のやり方から少しは脱するべきだ」と慎重な対応を求めた。
[コメント]韓国のみならず周辺国にとっても、北朝鮮はなんとも迷惑な隣人である。援助が少なくなると勝手に難癖をつけて喧嘩を仕掛け、勝ち目がないと分かればアイタタタと叫んで大騒ぎを起こして国際社会の注目を集めようとする。以前、北朝鮮をヤクザ国家とよんだ人がいたが、まったくその通りだと思ってしまう。あいかわらず瀬戸際外交という恫喝を仕掛け、相手が怯えることに期待している。そのために自分自身の足元が崩れようとしているのに気がついてない。毅然とした対応が北朝鮮の自分勝手なわがままを阻止できる。 北朝鮮の核実験と自らの核保有宣言も、核兵器を持てば”先制攻撃の恐怖”に晒されるのは当然の結果である。本物の核兵器は案山子(かかし)ではない。核攻撃の兆候が現れれば、相手国は核攻撃を受ける前に先制攻撃で阻止することは軍人の務めである。韓国の金泰栄・合同参謀本部議長の答弁に全く問題はない。韓国と具体的なやり方は違っても、日本やアメリカや中国もまったく同じ方法を選択する。核武装すれば先制攻撃を受ける可能性が高まることを知らなかった北朝鮮の無知に驚くばかりだ。(核戦略では勝手な言い分は通用しない)。 いつも言うことだが北朝鮮の今の季節は、昨秋に収穫した穀物の米やイモなどの保存食料を食べ尽くし、厳寒の冬が明けて、人々が食糧を求めて移動を始める時期である。北朝鮮では4月末の連休頃から、夏野菜が採れる6月末までは、厳しい食糧不足が人々を苦しめる時期なのだ。 さらに今年は、秋には収穫が期待できる苗付けも出来ないとなると、失望した人々の怒りは予測不可能な状況を生み出してくる。その意味からすると、北朝鮮は核実験(06年)と李大統領の誕生で、今までにはない緊張に直面していると推測できる。金王朝で最悪の緊張状態である。 なお、軍事衝突の場所を、NLL海域付近に設定するのは、限定した海上であれば軍事衝突が広域に拡大するのを防げるからである。急な交戦に援軍を増派ができず、周囲の部隊に飛び火する可能性が低いからだ。北朝鮮はそのことを計算してNLL海域を指定している。これは、おもちゃの様な対艦ミサイルを発射して威嚇出来ると考えるのと同じ発想である。硬直した北朝鮮の体制では、それ以外の方法や手段で援助を請うことができないのも現実である。 |
タクシー殺人容疑 米兵きょう逮捕 イージス巡洋艦「カウペンス」 上等水兵(22) (毎日 4月3日 朝刊) |
[概要]神奈川県横須賀市でタクシー運転手の高橋正昭さん(61)が刺殺された事件で、県警は3日、米軍に拘束されているイージス巡洋艦「カウペンス」の上等水兵(22)について殺人容疑で逮捕状を請求し、日米地位協定の運用改善合意に基づき起訴前の身柄引き渡しを求める。米軍側は事件発生直後から捜査に全面協力する意向を示し、同日中に逮捕する方針。 2年前の強盗殺人事件後、米軍は兵士の門限や飲酒禁止時間を設け、地元の飲食店などが打撃を受けた。米軍は今回も2〜7日に同様の措置をとる。これに対し、米兵向けバーなどが軒を連ねる「ドブ板通り」では、飲食店の経営者が米兵の犯罪で犠牲になるのはドブ板の景気だと嘆く。 米兵の犯罪や事件に「反基地」の機運が高まる沖縄と比べ、旧日本軍の軍港であった横須賀は、今まで自衛隊や米軍と共存してきた。しかし地元の交流関係者たちは、米軍兵士の凶悪犯罪で「友好関係」が揺らぎだしてきたと実感している。 [コメント]横須賀の2年前の強盗殺人事件では、路上(マンション)の防犯カメラに映った主婦(56才)を足蹴りにする米兵の暴行画面が公開された。まさに暴行はリンチそのもので、見ていても気持ちが悪くなるほどの凶悪ぶりだった。しかし20年前なら、犯人の米兵は基地に逃げ込めば安全だった。米軍は犯人の兵士を日本の警察に引き渡さず、さっさと帰国させてしまったからだ。日米地位協定でそれが正当化されていた。 しかし95年に沖縄で発生した米海兵隊員(3名)が、女子小学生(12才)の拉致、集団強姦した事件で、沖縄県民の怒りが爆発し、在沖米軍への反基地運動が高まった。そこで日米政府は、日米地位協定の運用・改善をはかり、殺人や強盗事件など凶悪事件に限り、米軍側は日本の捜査当局に対し「好意的な配慮を払う」と合意文を付け加えた。たったそれだけある。 日米政府共に、日米地位協定の”全面見直し”という事態は避けたいという意図がある。全面改正こそは米軍が日本に駐留することを不可能にするからだ。すなわち今の日米地位協定こそ、米軍の日本支配の具体的な象徴(本質)であるからだ。 その在日米軍に日本は異例の高額である”思いやり予算”を献上していた。豪華な住宅や体育館はもちろんだが、米軍基地内のパーティーで使うナイフやフォーク、配膳をするボーイさんの制服まで、日本政府の大判振る舞い「思いやり予算」である。それが1978年の開始以来、今月4月に初めて予算執行が止まった。この機会に日本で在日米軍の駐留経費負担を議論するのはよいことと思う。安保ただ乗り論などといわせないためである。 |
グルジア ウクライナ加盟反対 ロシア、NATO牽制 米、ウクライナ支持 (朝日 4月2日 朝刊) |
[概要]2日から始まるNATOの首脳会談で、加盟を希望する旧ソ連圏のウクライナとグルジアの扱いが焦点になっている。米英は次期加盟を強く押しているが、ロシアは安全保障上大きな脅威になると激しく反発し、フランスやドイツは慎重な対応を見せている。 ロシアは。「ウクライナの加盟は、ロシアとの関係に深刻な影響を及ぼす」とカラシン外務次官が1日、下院・公聴会で警告した。さらに下院議員から、ウクライナがNATO加盟候補国に認定されれば、両国との友好協力条約(ウクライナにクリミア半島の領土保全を認める)を破棄すべきという主張が出た。これはロシアがクリミア半島の領土要求を蒸し返すと意思表示だ。また3月下旬に、ロシア下院はグルジアがNATOに加盟した場合、親ロシア勢力がグルジアから分離を求めているアブハジアと南オセチアの独立を承認するようにプーチン大統領と政府に求める決議を採択した。 旧ソ連で第2の大国だったウクライナに人口は4600万人。すでにNATO加盟を済ませたバルト諸国とは影響力が比べものにならない。国内には親ロシア的な東部と、欧米への志向が強い西部と分裂した状態にある。グルジアは欧州と中央アジア、中東などを結ぶ戦略上の要衝に位置している。また、チェチェンなど民族紛争の火種を抱える北カフカス地方とも国境を接している。 近隣国では、ロシアから天然ガスを含め大量のエネルギー供給を受けている。これ以上のロシアとの関係悪化は避けたいのが本音だ。NATOの決定には全加盟国の支持が必要なため、このままではグルジアとウクライナの加盟候補国認定は来年の首脳会談に持ち越されそうだ。 ブッシュ大統領は1日、ウクライナの首都キエフでユーシェンコ大統領、チモシェンコ首相と会談し、NATO加盟候補国としてウクライナとグルジアを認定することを強く支持すると表明した。ブッシュ大統領はルーマニアで開催されるNATO首脳会談に出席の後、ロシアのプーチン大統領と会談し、米国が主導するミサイル防衛(MD)網の欧州配備問題で合意を取り付けることを目指す。 [コメント]最近、01年に買った「西南アジア地図」(昭文社刊 9千万分の1 01年10月1日発行 500円)を見ることが多くなった。この発行年月日が示すように、アメリカの同時多発テロを受けて、間もなく始まる米軍のアフガン戦争のために緊急出版された地図である。しかしこの地図はチベットや中央アジア、それに今回問題になっているグルジアやウクライナを含んでいるので、最近、再び見る機会が多くなった。 そこで気がついたのだが、ウクライナの首都キエフとモスクワの距離の近さである。これでロシアの裏庭というよりも中庭までNATOが勢力を拡大したという脅威も分かる気がする。その上、グルジアはチェチェンのゲリラが活動しているカスカス山脈に接してる。ここにイランの革命防衛隊が浸透して、チェチェン武装勢力をサポートし出すと大変な事態になる。 そこまで緊張した一帯(火薬庫)を、ブッシュ大統領は本気で手に入れて親米政権を樹立する気はないと思う。むしろアメリカの欧州版MD配備で、ロシアから譲歩を得るために、ロシアの嫌うウクライナ、グルジアNATO加盟問題を利用しているのではないか。この地図を眺めていると、ロシアの危機感ばかり浮かんでくる。 |
新型 迷彩コート(外套)を開発 光、熱を遮断 車両にも応用可 防衛技術研究所が快挙 2012年にも実用化 (AF通信※ 4月1日 電子版) |
[概要]防衛装備品の研究・開発を行っている防衛技術研究所(防衛省所轄)は、1日、画期的な戦闘用迷彩コート(外套)の開発に成功したと発表した。これはノートパソコンなどの表示ディスプレーに使われる液晶画面を極限に薄くし、0,2ミリの厚さにもかかわらず、新開発の炭素材繊維でコーティングした結果、折り曲げたり、たたんで収納できるほか、雨天や雪といった自然環境(生活防水)に十分耐える品質になった。これを戦闘服の上に着用するコート(外套)に加工したり、車のシートカーバーとして使用することも可能だ。 発色のシステムは付属の小型パソコン(ベルト着用)で調色して、43万5000色のカラーを組み合わせで発光させる仕組み。腰に付けたパソコンを自動調色にセットすると、センサーが周囲の色に感応して、最も環境に近い色彩を発光することが出来る。兵士が移動していくと、自動的に調色が行われ、常に最適の色環境に変色することができる。またこのコートには赤外線を遮断するので、夜間などに敵の赤外線センサーで体温を探知されることはない。 さらに迷彩コート(カバー)が人や車両を覆うことで、膨らみや凹みの質感を、だまし絵よのように光線の強弱と陰影でなくすことができた。防衛技術研究所の開発担当官は、「これで兵士の全身を覆うころで、透明人間のような効果を得ることが出来、車両なども敵に察知されることなく移動が可能です」と誇らしそうに語った。一着のコストは1万着程度生産すれば100万円以下という試算もあり、これからの戦争を画期的に変化させるものとして期待されている。 すでに米国防総省の最先端兵器研究所から問い合わせがきているが、日本は武器輸出禁止3原則のため、米国であっても軍事製品は輸出できない(技術提供のみ)として、この迷彩コートの情報提供を拒んでいる。そのため、この迷彩コートが新たな日米防衛摩擦に発展する可能性があると指摘する防衛省高官もいる。 [コメント]この戦闘用・迷彩コートは、はたして開発可能かという問題ではなく、いつ、誰が、どの様に実用化できるかという点に関心が集まっていた。それを最初に実用化のめどを付けたのが日本ということになった。ここは防衛技術研究所の快挙を率直に喜びたい。 まさに兵士の透明人間化である。開発官に聞いた話しでは、演習場などの野外では数十メートルまで近づいても気がつく者はいないそうである。まさにRMA(軍事革命)についで兵士のステルス革命が始まった。日本はこの軍事技術を決して外国に公開せず、不必要な軍拡競争を起こさない配慮が必要である。 しかしあくまで日本は防衛的に使うべきで、専守防衛に沿った活用に限り、いやしくも海外に侵攻戦争を有利に戦うために使用してはいけない。また、開発関係者がこの軍事技術を中国などに漏洩した場合、懲役10年以下の「特別防衛秘密」に秘密指定するように提案する。 ※ AF通信とは、April Fool の略です。すなわち 「4月バカ」。すでに皆さんも気がついたと思いますが、この件で防衛省などに問い合わせなど、なさらぬようにお願いします。来年は写真(偽造)を準備して大作を仕掛けます。ゆめゆめご油断なさらないように。 |
※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。