羽島市民病院(羽島市新生町)を運営する同市が、入院したまま5年以上も居座っているとして男性患者(68)に退去などを求めた訴訟の判決言い渡しが10日、岐阜地裁であり、野村高弘裁判長は市側の請求を認め、病室からの退去と入院費約175万円の支払いを命じた。

 野村裁判長は医療過誤の有無について「病院側に過失は認められない」と認定。「入院を伴う診療契約は終了している」と述べた。

 判決によると、男性は2002(平成14)年に急性心筋梗塞(こうそく)の手術を受けて入院した際、右手にしびれが残ったなどとして、病院側の退去勧告を拒否。私物のテレビを持ち込むなどして病室を使用し続けている。病院側は「入院治療の必要はない」として、退去や入院費の支払いなどを求め、男性は「医療過誤で就労が困難になった」などと病院側に損害賠償約4900万円を請求していた。

 判決では損害賠償請求も棄却した。

 判決を受け、天野和雄院長は「当院の主張が全面的に認めていただけた」とし、「公立病院が患者に退去を求める裁判は全国的にもまれと聞いている。今後も職員が団結して適正に手続きを進めたい」と話していた。