大阪市教育委員会は10日、学校現場に児童・生徒の保護者から寄せられる苦情や要望に対応する教員用マニュアル「要望・苦情等対応の手引き−保護者とのいい関係を築くために」を作成したと発表した。実際にあった事例を12例あげ、対応のポイントを解説している。市教委は市立小、中学校の全教員に配布する。
マニュアルは学校への無理難題の要求に関する研究で知られ、『悲鳴をあげる学校』などの著作がある小野田正利・大阪大学大学院教授(教育制度論)らが協力。基本的に保護者や地域からの要望や苦情を「無理難題」と受け止めず、前向きな提案と考える手法について解説している。
事例解説では、「子供が『先生が嫌いだから学校にいきたくない』と言っている」と電話が入ったり、「子供が授業中に落書きをするのは教師の授業が面白くないからだ」などの苦情が続いたケースを紹介。この場合は、該当する教員にアドバイスすると同時に、児童・生徒に対しても組織的にサポートをするなどの対応で解決したとしている。
また、学校で子供同士のトラブルがあり、けがをした子供の保護者が、「後遺症が出たら学校が一生補償してほしい」と要求してきた事例もあげ、この場合は、再発防止に向けた取り組みを説明したものの、保護者に理解を得られず、弁護士の助言を受けたとしている。このケースについてマニュアルでは、「訴訟に発展しそうな場合は専門家の助言を受けて対応する」ことを勧めている。
【関連記事】
・
“自子中心”の保護者 不安が生み続けるモンスターの連鎖
・
【著者に聞きたい】本間正人さん『モンスター・ペアレント』
・
「モンスターペアレンツ」案外身近に… キャリア・マムがネット調査
・
子供の教育、秘訣は家事にあり カリスマ家庭教師・松永暢史さんに聞く
・
橋下知事、子供たちに「おっちゃん仕事中やねん」