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小4の命、安全はぐくむ

2008年04月09日

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事故から半年たっても、供物が絶えない

 下校途中だった小学4年生の男児が昨秋、大型トラックにひかれて死亡した、浦安市富岡3丁目の県道交差点。市内でも大型車の交通量が多い場所の一つだが、事故を機に周辺小中学校の父母らが交差点の改善や安全運転を働きかけるようになった。「ソフトドライブを」と呼びかけるシールを配るなど、活動を広げている。

 現場は、東京ディズニーリゾートの北東約2キロ。JR京葉線と並行に走る県道の交差点だ。「日本一の鉄鋼流通基地」と言われる浦安鉄鋼団地が隣接し、約500メートル西には東京方面と結ぶ国道357号が走り、この交差点を経由して国道に抜ける車両が絶えない。

 事故が起きたのは、昨年9月14日午後3時過ぎ。下校途中の小学4年生の男児が、交差点の横断歩道を青信号で渡ろうとしたところ、鉄鋼団地方面から左折してきた大型トラックの左後輪に巻き込まれて死亡した。運転していた50代の男は、自動車運転過失致死容疑で逮捕・起訴され、今年1月に禁固2年6カ月が確定した。

 現場で見ていると、弁当を食べながら、あるいは携帯電話を使いながらの運転が目立つ。速度を十分に落とさずに左折していく。信号が赤に変わっても通過するトラックもある。

 「以前からマナーの悪い運転が目についた」。交差点の近くにある市立見明川中PTA副会長の渡辺伸子さんはいう。これまでに4回、学校で署名を集めて、市や警察に対策を求めてきた。

 渡辺さんは、男児の事故があった日、現場を数分前に自転車で通っており、「もう少し遅く通っていたら事故を防げたかもしれない」と悔やんだ。そんな思いから、事故の1カ月後、地元の小中学校PTAや自治会に呼びかけるなどして「連絡会」を立ち上げた。

 交差点の改善に向けて市や県などに働きかけるほか、ほぼ毎日メンバーが現場に赴いて観察を続ける。

 連絡会は、浦安市に交差点の交通量調査を要望。昨年11月に実施され、登下校の時間帯に千台近くの車が走行することがわかった。

 その後、市は国道357号方面に左折する車の視界を遮っていたとされる交差点角の植栽を伐採し、県は交差点内の白線を引き直した。

 また、「通学路」を示す標識も新たに設置。照明も従来の白熱灯から、より明るいナトリウム灯に換えられた。登下校の時間帯は、鉄鋼団地が「緑のおじさん」を派遣するようになった。

 今月10日と15日には、市内でシールを配ってキャンペーンを展開する。「この交差点に限った問題ではない」と渡辺さん。「交通事故はだれもが当事者になりうる。その思いを一人でも多くの人と共有できるよう、呼びかけを続ける」と話している。

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