【サンフランシスコ吉富裕倫】混乱が続く北京五輪の聖火リレーが9日午後(日本時間10日早朝)、米カリフォルニア州サンフランシスコで行われた。市当局はチベット人らの大規模な抗議活動を避けるため、開始直前にルートを全面変更して約半分に短縮したり、ひそかに車両で聖火を運ぶなど苦肉の策で混乱を乗り切った。ロンドン、パリに続いて予定変更を余儀なくされたことは、今後のリレーにも影響を与えそうだ。
聖火は当初、市内北東部の海沿いのコース約10キロを約80人の走者の手で受け継がれる予定だった。しかし、午後1時からの開会式終了後、第1走者が掲げた聖火は出発点近くの倉庫内に持ち込まれ、数十分後、西へ約2.5キロ離れた場所で再び登場。第2走者から予定と全く違う約5キロのコースを走り、ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)の手前でゴールした。
AP通信によると、女性走者の1人が隠し持っていた小さなチベットの旗を取り出し、リレーから外される場面もあった。
閉会式会場もサンフランシスコ国際空港に変更。聖火は次のリレー開催地である南米アルゼンチンのブエノスアイレスへ向かった。
予定ルートの沿道には一般観衆に加え、中国政府によるチベット暴動の鎮圧を非難するグループや中国側の支援者らが多数詰めかけた。ルート変更などで深刻な妨害行為を抑えることはできたが、多くの観衆らは待ちぼうけをくらう格好に。
今回のリレー結果などを受け、国際オリンピック委員会(IOC)は10日の理事会で今後の対応を協議する。
毎日新聞 2008年4月10日 11時55分(最終更新 4月10日 13時29分)