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社説天声人語

天声人語

2008年04月10日(木曜日)付

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 駅のトイレで「清掃中」の札に青くなった経験はどなたにもあろう。金融関係者が足踏みして列をなす中、「政争中」の札がかかった日銀総裁のイスがようやく埋まった。白川方明副総裁の、異例のずり上がりだ▼現代史において最も劇的に「副」が外れたのは、今年が生誕100年のジョンソン米大統領だろう。ケネディ大統領がダラスで暗殺された約2時間後、遺体を収容したエアフォース・ワン機内で、第36代への就任を宣誓した▼片や日銀人事。政府が第30代に推した武藤敏郎、田波耕治の両氏も衆目の中で、民主党にけられて散った。これまで「総裁を補佐する適任者」とされてきた白川氏は、己が何者か自問していよう。玄人評は悪くないようだが、つくづく妙な人繰りだった▼福田首相は財務省OBの登用にこだわり、民主党の小沢代表が端からつぶしていく。功成り名を遂げた人たちに不適任の断が下った。「大連立の友」とは思えぬ意地の張り合いだ▼昨日、両人が党首討論に臨んだ。日銀人事がよほど腹に据えかねたのだろう。首相は「権力の乱用」「ほんろうされた」と、いつにない糾弾調で民主党を責めた。下げ止まらぬ支持率に怖いものがなくなったか、吹っ切れたように、頭も口もよく回る▼「おかゆしか食べていない」小沢氏も、官僚支配への批判で筋を通した。互いの口の端には戦う覚悟もにじみ、前回よりずっと面白い。「誰とお話をすれば信用できるのか」と首相。話ができない時の選択肢は少ない。国民が足踏みして待つ政治決戦が近いのか。

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