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ダライ・ラマ14世が会見 「今こそ現実を受け入れを」と対話訴える
このニュースのトピックス:チベット
チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は10日、米国訪問のトランジットで日本に立ち寄り、千葉県成田市内のホテルで記者会見し、「暴力による弾圧ではなく現実的なアプローチが必要だ」と、中国チベット自治区などでの騒乱を力で押さえ込んだ中国に対話の必要性を改めて訴えた。
3月中旬のチベット騒乱以降、ダライ・ラマが亡命先のインド以外で、見解を明らかにするのは初めて。
騒乱の原因については、チベット民族の固有の宗教や文化、教育などが抑圧されているため、「チベット民族の憤りが表出した」と指摘。「いまこそ現実を受け入れるべきときだ」とし、中国に対し対話路線への転換を強く促した。
また、欧米諸国で北京五輪の聖火リレーに対する抗議行動が激化していることについて、「表現の自由は暴力によって確保されるべきではない」として非暴力主義の重要性を力説。9日に聖火リレーが行われたサンフランシスコの知人に「気持ちを表現することは自由だが、暴力は絶対に振るってはならない」とのメッセージを送ったことを明かした。
ただし、抗議行動の原因については理解を示し、「民主主義に含まれるべき表現の自由が中国のチベット民族には許されていないためだ」と述べた。
8月の北京五輪ついては、「中国は人口も多く、歴史も長く、五輪を開催するだけの十分な力のある国だ」と、改めて開催に支持を表明した。一方で「透明性のある情報を提供すべきだ」とし、国際機関に調査を依頼するなど騒乱の真実を公表するよう要求した。
会見終了後は米シアトルに向けて出発。米国にはニューヨーク州などに約2週間滞在し、講演会や法話などを行う。